『紙の月』 角田光代 映画が話題になったころに 図書館に予約を入れたから 何か月待ちだったか。 ようやく順番が来た。 主人公の梨花を知る人々が回想する彼女は、 凛として美しく正義感のあふれる女性だ。 銀行で勤める顧客たちに愛され、信頼され、それゆえ営業成績も優秀だった。 他人の預金を湯水のように浪費し 夜な夜な偽装に励むような人間と同一人物とは思えない。 この小説の中に登場する複数の女性たちもまた 買い物依存症のように 次々と高価なものを買うことによって 心の穴を埋めようと必死になっている。