「剣道に対する考え方」

 

プレジデント範士(剣道範士八段)

 

昨年11月プレジデント範士が話された32分の内容を再び聞いてみましょう。

 

S9980002 (youtube.com)

 

 
S9980003 (youtube.com)

 

 

①   稽古をすることは大事なんだけど、

剣道対してに対しての考え方という話をしてみます。

剣道はこうしなければならないということはありません

 

あるとしたら基本だけ。

基本はできるだけこういう形をしましょう。

そうすると応用がききやすくなり、先になってから伸びますよ。そういう狙いがあるから、基本はある程度しっかりしたもの、決まったものを。

 

実際に面をつけて稽古をすると、一人ひとり全部剣道が違う。

それでいいんです。

ただし、自分の目指す方向という、

こういう剣道がしたい、

あの先生みたいな剣道をまねして自分はやってみたい。

逆に、あんな剣道はやりたくないよね。

そういう思いが自分の剣道を作っていく。

そこは自由ですから、自分の考え方でやっていい。

 

どれが正しいとか、どれが間違っていることはない。

まずそこをしっかり押さえておく。

剣道の成り立ちというと、お互いにやり取りをすること。

試合がある。

試合があると、勝ちたい。

勝か負けるかで1本取り合うわけだから、負けたくない。

そこで勝ちたい剣道をするというのも。

逆に勝ち負けは関係ない、自分はこういう剣道をしたいというのも。

 

ここも自由。その人の考え方。

小さい子ども、大人も一緒だけど、剣道やって強いのは、

どういう子どもが強いかというと、運動能力が優れている。

体力がある。

気が強い。

こういう子が大体強い。

強い子は、小学校中学校高校大学社会人になっても強い。

だけど、剣道の面白いところは、小さいときに逆に強くなかった人がだんだんだんだん

追いついてくる。

体力も必要だけど、運動能力も必要だけど、そんなに運動能力がなくてもだんだん勝てるようになってくる。

ここが面白いところ。

だから、剣道は長く、生涯剣道、年をとってもずっとできますよ。

年を取るほど強くなってきますよ。

私の自分を振り返ってみると、今77歳です。

ちょうど75歳の時にコロナがあって稽古ができなくなった。

ずっと稽古ができずに間が空けて、

さあ、稽古をするよ、コロナが終わって稽古をするよとなって体力的にかなり落ちていた。

若いときだったら、それを回復できるが、今になると回復できない。

 

だから、そういうこともあって、75まではだんだんだんだんだんだん強くなっていた。

自分でわかる。強くなっているなというのが。

若いときみたい、スピードのなるある威力のある面はできないが、早い剣道はできないが、それを返すことはできる。

体力がなくても、運動能力が落ちても、強くなる証明です。

そこに何が加わるかというかというと、ハート。

ビクビクしたり怖がっていたのがだんだん年を取ってくるとなくなる。

気持ちが強くなるというか気持ちがしっかりなる。

気持ちが動じない、動かない。相手の思いに対して、

ビクビクしない。

 

そういうのが出てくると、だんだん剣道が落ち着いてきて、総合的な強さが出てくる。

 

私は75歳だけど、80歳になってもだんだん強くなっていく要素はある。

そう思ってください。

そのきっかけをひとつ話します。

剣道をするのに、ずっとやってきて、間合い。

届く距離。自分から飛び込んだら届く距離。

届く距離に入ったら、よーいどん、早く打った方が勝ちです。

同じ人が2人いて、よーいどんで打ったら、スピードがある人が勝ちです。

剣道をやり始めてみんなそのことを考える。

 

だけど、それがずっと頭にある人は強くなれない。

ここがおもしろい。

発想の転換がいる。

考え方の

さっきいった、運動能力とか、体力とかそんなに関係ない。

ここを使うと勝てるようになる。

よーいどんでは負けるけど、よーいどんに行くようにすると相手はきてくれるから、

ほい、胴、相手を利用する。

簡単に言うと、そういうこと、

使って、相手を自分の思う通りにする。

大事なことは、相手と稽古をするわけだけど、自分だけ自分のサイドで考えて。面が打ちたい小手が打ちたい、

自分だけで稽古をしているうちは上達は望めない。

だから、礼をして蹲踞して立ち上がったら早く打とう。

懐に入ったら相手より早く打とうという発想は、

自分サイドの考え方。

相手は応じ技、出小手が得意かもしれない、

始め、やーめん、ぐっ、小手を打たれる。

だから、少し、たぶん皆さんも気づいていると思うけど、剣道の大事なことは

お互いに礼をして立ち上がって、さあ、相手が何を考えているか。どうしようと思っているか。

竹刀を通して竹刀がカチカチ、相手とやり取りをする中で、この人は面を打ってこようとしているな、あるいは私が面を打つのを待っているな。

そういう竹刀を通しての相手とのやり取りが大事になってきます。

最低、一番わかりやすいのは、攻撃してこようとしているか、守ろうとしているか、待つ。構えは。

これは攻撃してこようとしているなと思ったら、自分もその攻撃に負けないようにいくか、逆に相手の攻撃を利用するか。相手に打たせて。

守ろうとしているな、私が打ってくるのを待っているな、出小手を狙っているな、胴を打とうとしているかな、攻撃ではなく守りの状態。そのときに面を打ったら、胴を返されるわけ。面に行くようにして小手に行くと相手は胴を打てない。つっとしたら、相手が小手を抜いて面を。

相手が守ろうとしていたら、それに対する対応ができる。

大事なのは、いまみたいに相手が何を考えているのか、攻撃しようとしているのか、守ろうとしているのか、攻撃しようとしているなら面に来ようとしているのか小手に来ようとしているのか、そういうやり取りの中で、瞬間的にパッとひらめく。瞬間的にひらめくように。

そういう組み立てになってくる。剣道レベルがだんだん高くなってくる。いくらいっても高くなっていく。

どういうことかというと、今みたいなことをやっていると、今待っているな、と相手もわかってくる。

待っているように見せて、相手が、いったら出てきたら打つよという恰好してなかなかいかんよとしていると、打ってくる

相手の逆を突くように、相手も考えている。

難しいんだけど、相手と自分がやって自分はこう、相手は裏を突く、その裏を突く、その裏を突く、ずっとその繰り返されていく。

ここのレベルで止まっていると、たいてい強くなれない。おもしろいところ。

なんでか。だました方が勝ちになる。相手をだます。

面を打つ格好をしてコテ、面を打つようにして胴。胴あり。

それでは、剣道は騙したら勝ちなのか。

そんなこと。

 

1回は騙されるかもしれんけど、相手もそうはいきません。

そのためにはどうするか、相手のだましに動じない。

逆に相手のだましまで見合う。

こういうレベルが6段7段8段になってくる。

相手の動きとかに そうはいきません。はいどうぞ。

自分の気持ちが相手に対して動かされる。来るのではないか、びくっとする。

小手に来るかな、と疑う。

こういう気持ちで相手から動かされないようにだんだん稽古を積んでいくことが

自分の剣道のレベルアップにつながるから面白い。

難しい極端な言い方、剣道のやっていく中で

一番大事なことは

自分を磨くこと

自分の弱いところを磨いていくこと

自分の強いところを光るように磨いていくこと

相手との勝負ではなく

結果的に最後は

自分を高めていくために剣道をやりますよ。

相手から打たれてもいい。

びくびくしません、私はそれくらいの対応をしていきます。

胴を抜かれても、大丈夫、今度はよし。

 

自分の強いところを押し出す

弱いところをカバーする

そういう面で稽古をすると自分の剣道が高まっていく。

聞いたことがあると思うが、自分が相手を打って反省します。

無理があったな、当たったけど強引すぎたな、ちょっと軽かったな。打って反省。

相手に打たれて、いいところを打たれました、ありがとう。感謝する。

打って反省、打たれて感謝。

 

聞いたことがある人手を挙げて。

一番大事なところは何か。

相手を認める。

試合でも稽古でも、打たれて感謝する。

相手を認める。

そのうえで、それに自分も負けないようにしっかりやりますよ

そういうやりとりが基本的に2人の間にあります。

自分を高める稽古をやったらいいですよ、とさっき言ったけど、

自分を高める原因は相手にある。自分の中にもあるが相手がいるから高めてもらえる。

長くなってくどくなって難しくなってしまいましたが、

結論を言うと

相手と自分と両方2人でやっていきましょう。お互いに自分自身を高めながら稽古をやっていく。

やっつけるは「ノー」。お互いに頑張ってやっていきましょうね。

そういう気持ちでやっているところは、いい選手が育ちます

 

やってて楽しいし、あしたもやらしてもらおう。 そういう気持ちで稽古につながる。

生涯剣道 長く稽古ができる。体が元気でないといけないがそういう気持ちでやっていると長く稽古がやっていけるし、

自分の成長にもずっとつながる

考え方を是非そういうつもりでやってもらうと

どういう剣道するか、 自分の気持ち次第。

目指す剣道

こういう剣道をしたい、これからも続けてもらったらいい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

胴塗りもここまで来ました。