切ない背中 | 八ヶ岳南麓夫婦善哉

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八ヶ岳南麓の生活を綴ります。

しばらく通った

朝一番の

整形外科の

待合室は

お婆さまとお爺さまで

混雑していた

先着順に席が決まっており

初めての日には

短髪のお婆さまが

無言のまま指さしで

この席に座れ

と、教えてくれた

ある日には

隣に座ったお婆さまが

「どうしたのそれ?包丁?」

と、短く尋ねてきた

違うと答えると

深くは聞いてこなかった

 

ある日

お爺さまの

左隣に座っていると

お爺さまは右隣に座る

男性にあれやこれや

話かけたが、

迷惑そうに無視されたため

今度は左に座る私に

あれやこれや尋ねてきた

そして、かつてご自分が

見聞きした

ひどい怪我について

いろいろ語りだした

聞いているだけで

痛みが増すようで

閉口しつつ

相槌を打っていたが

心の中で

一発でこの爺さまを

黙らす方法は何だろうと

思いを巡らせていたら

爺さまの名前が呼ばれ

爺さまゆっくり

立ち上がり診察室へ

その背は曲がり

痩せてよたよた

 

切ない背中

ごめんね

一発で黙らす方法を

考えていたりして