ところで
お父さんはいつ死んだんだっけ
老母が言う
お父さんはもう天国へ行ったかしらん
少し不安そうな顔
大丈夫
三途の川を渡ったところで
石の上に座ってお母さんのこと
待っていてくれるから
一緒に仲良く天国へ行くといいよ
え~
まだ行きたくないんだけど~
と、幼い子供のような表情
大丈夫
いくらでも待ってくれるから
心配いらないよ
いつ死んじゃったかは
忘れちゃったけど
死んだことは覚えているから
ま、良しとしようか
この話のすぐ後で
老母が電話で
誰かの悩み相談に乗っていた
すっごいまともで
信頼できる話っぷり
電話の相手は
まさか
ついさっき
老母が
お父さんはいつ死んだんだっけ?
と言っていたとは思うまい
脳
その深淵な世界
