PhDへの進学を機に、ブログを移して新しく始めることにしました。よろしくお願いします。

PhDへ進学することにしたのはいいけど、授業は秋学期、9月からなので、夏休み中はちょっと宙ぶらりんな状態になっている。このままだとだらだらしてしまう恐れがあるので、たまたま教授に声を掛けられたRA(リサーチアシスタントのこと)をやることにした。

リサーチアシスタントといっても、法学部の教授にファイナンスの基礎をコーチする、という内容なのだが、その先生がすごい。RAの依頼のメールの差出人、Douglas Bairdというのを見て、なんだ、知らない人だな、と思ったらなんとLaw Schoolの前Dean(学部長)でDistinguished Service Professorという肩書きではないか!

Distinguished Service ProfessorというのはProfessorのより偉いバージョンということなのだが、ぼくの所属するビジネススクールには100人くらいいる教授陣のうち全部で56人しかいない超、超偉い先生ばかりである。うーん、こんな人にぼくが教わるのではなく、教える、というのはどうなんだ?という心配はあるけど、ともあれぼくを推薦してくれたビジネススクールの先生の期待を裏切らないよう全力を尽くすのみである。

その先生から今日リクエストがあったのが、Copula(コプラ)を分かりやすく教えてくれ、というもの。Copulaというのは現在の経済・金融危機を招いたというCDO(Collateralized Debt Obligation)という金融商品の価格評価をするために使われる統計的手法のことだ。要は、その価格評価手法が間違っていたから多くの金融機関、投資家が多額の損をこうむり、信用収縮が発生して経済危機にいたったということで現在はとても悪者扱いされているモデルでもある。

Copulaというのは、すごく簡単に言うと、複数の証券がデフォルトする(債務不履行に陥る)確率の相互依存関係を描写するものだ。生命保険の料率計算では、夫婦のうち片方が死んでしまうと、残されたもう片方も死んでしまう確率が高まるという現象が観測されていて、これを織り込んで保険料率を決定しているのだけど、企業の倒産にも似たような相互依存関係があるんじゃないか、というのがアイデアとなっている。つまり、同じ業界にいる会社ABがあって、Aがデフォルトすると、Bがデフォルトする確率が上昇する、というのを数学的に定義しよう、というのがCopulaだ。

一口にCopulaと言ってもいろんなバリエーションがあり、現在業界で最もよく使われている(いた)のがGaussian Copulaといって倒産の相互依存関係が多変数正規分布(Gaussian Distribution)で記述できるという前提を置いて、その相互依存度(相関係数)を計算するというものなんだけど、この前提が今から振り返ってみれば全くダメだったということで、この方法ではある種のCDOの価格が大幅に過大評価されてしまうことが分かっている。モデル上はAAAだと思ってたのに、実際にはBBBくらいだった、とか。

というようなことを今日の午前中、3時間英語で説明し続けたんだけどちゃんと分かってもらえたかどうか不安だ。まあ、自分の勉強にもなったしアルバイト代ももらえるのでよしとしよう。