痛み止めの薬をことを知ろう
保険薬剤師の米澤よしゆきです。
前回の記事でみなさまから多くのコメントを頂戴しました。
ありがとうございます。
痛み止めのお薬についての続編です。
痛み止めといいましてもアンメルツから麻薬のモルヒネまでいろいろですので、
ここでは一般的な鎮痛剤(非ステロイド消炎剤)の飲み薬についてお話します。
まず、非ステロイド消炎剤として有名なものをざっと挙げてみますと、
バファリン、イブ、ナロン、ノーシン、ハッキリ、アスピリンなどの一般薬から
ボルタレン、ロキソニン、ポンタールなどの医療用医薬品までいろいろです。
そこでお話ししたいのは・・・
痛み止めの薬について名前の認知度は高いものの、どうやって痛みを
和らげているのか?という部分はなかなか知られていませんね。
しかし、そこを少しだけ理解することで、痛み止めの薬と上手に
付き合っていけるのではないかと思います。
痛みを止めるしくみをものすごく簡単にお話しします。
やはり、痛みを感じるためにはそれなりのメカニズムがありまして、
そのメカニズムが順序立てて行われてこそ痛みが発症します。
これは腫れや炎症も同じで、テーブルの角に足をぶつけたときに
まず痛みが走ります。その痛みは仕方ないとして、その後、ぶつけた個所が
ジンジンと何日も痛み、赤く腫れたとします。
この時、痛みを発生させる物質がカラダの中に多く生まれています。同時に
炎症や腫れを起こす物質も細胞レベルで大量発生しています。
そこで痛み止めの薬は、この「痛みや炎症を起こす物質」が活躍するのを
邪魔することによって痛みを和らげるんです。
増えすぎた「痛みや炎症を起こす物質」を抑え込むというのが痛み止めのお薬
の仕事なので連用してクセになることはありません。
しかし、一方で気になるのは副作用です。
最強の鎮痛効果が期待できるボルタレンでは0.1~5%未満の確率で胃痛が
報告されています。
痛み止めを飲むと「胃が荒れる」という心配は付きまとうものです。
ですから、みなさん「薬を飲むなら同時に水を多めに飲む」とか
「食後しか痛み止めを飲まない」というふうに工夫されるのです。
なぜ痛み止めを飲むと胃が荒れるのでしょう????
ヒトのカラダの中の酵素に「COX(コックスと呼んでください)」と
いうものがあります。
COXには双子のようなCOX1とCOX2がいて、それぞれ似たような構造に
なっています。
COX1は胃の粘膜を守ったり、血流を安定にする仕事をする
いわば善玉酵素です。
逆にCOX2は前述した「痛みや炎症を起こす物質」を活発にさせる
悪玉酵素です。 (善悪はこの場合に限ってですが)
では痛み止めの薬を飲むとどうなるかといいますと、
薬の成分がこのCOXをやっつけに行きます。
このときCOX1とCOX2が似すぎていて薬の成分はこの2つの見分けが
つきません!
当然こうなります・・・
痛み止めを飲むことによって痛みや炎症がマシになる半面、
胃腸の調子がおかしくなるのはこのためでした。
COX1がやられているときに胃の粘膜が胃酸の攻撃を受けると
胃は荒れてしまいますね。
薬の効き目が最も強く現れるのは飲み始めの40分~1時間です。
この時間帯に胃の中に食べ物があると胃粘膜は胃酸の攻撃を直接受け
にくくなるかもしれません。
一方、見方を変えると、
上記のような痛み止めの仕組みを振り返って考えてみたら
理想的な痛み止めの薬ってこういうことですよね↓
現在、医療用医薬品ではCOX2だけやっつける痛み止め
(COX2選択性薬といいます)を開発するのに全力を傾けています。
そんな中でも、医療用医薬品「ハイペン」という薬はかなりCOX2に
だけ作用する薬として広く医療現場で使われています。
残念ながら現状、一般薬でCOX2選択性の薬はありません。
しかし、そのほかの方法で胃をいたわる性質をもった優れた医薬品も
ありますのでひとつ紹介しておきます。
それは医療用医薬品の「ロキソニン」です。
日本の医療現場で最も使用されている薬ですのでご存知の方が多い
ですよね。
これはプロドラッグという独特のスタイルを持った医薬品で、
他の薬には無い特徴です。
飲んだ段階では不活性(役立たずなんです)で消化吸収されてから
「効果を示す型」に変身するタイプの薬で、こうすることで胃や消化管
への負担を軽くしています。
たとえば、ロキソニンと一般薬「B」を半年間飲み続けた場合の患者さんの
データでは、圧倒的にロキソニンのほうが胃腸への負担が軽いということが
わかっています。
さらにロキソニンはボルタレンに次ぐ鎮痛効果がありますので非常に
優れた薬といえます。
ちなみにですが・・・
僕はロキソニンをほめていますが別に第一三共と特別仲がいいわけでは
ありません(^∇^)。薬剤師としての感想です。
今やドラッグストアでもロキソニンが買えますので、もし急な発熱や
生理痛、歯痛などの場合はロキソニンを1stチョイスにすることが
正解だと思いますが、お高いですから、その他はどんなものが良いか
考えてみました。
やはりそこそこ鎮痛効果があって副作用が少ないものと言えば、
イブプロフェンですので、であればナロンエースやイブということ
になります。
とはいえ、一番のお薦めは病医院でドクターに医療用医薬品を処方して
もらうことですが。
薬はカラダにとって異物です。
飲まないに越したことはありません。
しかし、やみくもに我慢してもっと悪い状況を迎えてしまってはいけません。
痛み止めがなぜ胃を荒らすのかが分かると空腹の時間が長い時に
服用するとよくないことも見えてきます。
そういったことを理解しながら薬と付き合うことも大事かもしれません。
前回の記事でみなさまから多くのコメントを頂戴しました。
ありがとうございます。
痛み止めのお薬についての続編です。
痛み止めといいましてもアンメルツから麻薬のモルヒネまでいろいろですので、
ここでは一般的な鎮痛剤(非ステロイド消炎剤)の飲み薬についてお話します。
まず、非ステロイド消炎剤として有名なものをざっと挙げてみますと、
バファリン、イブ、ナロン、ノーシン、ハッキリ、アスピリンなどの一般薬から
ボルタレン、ロキソニン、ポンタールなどの医療用医薬品までいろいろです。
そこでお話ししたいのは・・・
痛み止めの薬について名前の認知度は高いものの、どうやって痛みを
和らげているのか?という部分はなかなか知られていませんね。
しかし、そこを少しだけ理解することで、痛み止めの薬と上手に
付き合っていけるのではないかと思います。
痛みを止めるしくみをものすごく簡単にお話しします。
やはり、痛みを感じるためにはそれなりのメカニズムがありまして、
そのメカニズムが順序立てて行われてこそ痛みが発症します。
これは腫れや炎症も同じで、テーブルの角に足をぶつけたときに
まず痛みが走ります。その痛みは仕方ないとして、その後、ぶつけた個所が
ジンジンと何日も痛み、赤く腫れたとします。
この時、痛みを発生させる物質がカラダの中に多く生まれています。同時に
炎症や腫れを起こす物質も細胞レベルで大量発生しています。
そこで痛み止めの薬は、この「痛みや炎症を起こす物質」が活躍するのを
邪魔することによって痛みを和らげるんです。
増えすぎた「痛みや炎症を起こす物質」を抑え込むというのが痛み止めのお薬
の仕事なので連用してクセになることはありません。
しかし、一方で気になるのは副作用です。
最強の鎮痛効果が期待できるボルタレンでは0.1~5%未満の確率で胃痛が
報告されています。
痛み止めを飲むと「胃が荒れる」という心配は付きまとうものです。
ですから、みなさん「薬を飲むなら同時に水を多めに飲む」とか
「食後しか痛み止めを飲まない」というふうに工夫されるのです。
なぜ痛み止めを飲むと胃が荒れるのでしょう????
ヒトのカラダの中の酵素に「COX(コックスと呼んでください)」と
いうものがあります。
COXには双子のようなCOX1とCOX2がいて、それぞれ似たような構造に
なっています。
COX1は胃の粘膜を守ったり、血流を安定にする仕事をする
いわば善玉酵素です。
逆にCOX2は前述した「痛みや炎症を起こす物質」を活発にさせる
悪玉酵素です。 (善悪はこの場合に限ってですが)
では痛み止めの薬を飲むとどうなるかといいますと、
薬の成分がこのCOXをやっつけに行きます。
このときCOX1とCOX2が似すぎていて薬の成分はこの2つの見分けが
つきません!
当然こうなります・・・
痛み止めを飲むことによって痛みや炎症がマシになる半面、
胃腸の調子がおかしくなるのはこのためでした。
COX1がやられているときに胃の粘膜が胃酸の攻撃を受けると
胃は荒れてしまいますね。
薬の効き目が最も強く現れるのは飲み始めの40分~1時間です。
この時間帯に胃の中に食べ物があると胃粘膜は胃酸の攻撃を直接受け
にくくなるかもしれません。
一方、見方を変えると、
上記のような痛み止めの仕組みを振り返って考えてみたら
理想的な痛み止めの薬ってこういうことですよね↓
現在、医療用医薬品ではCOX2だけやっつける痛み止め
(COX2選択性薬といいます)を開発するのに全力を傾けています。
そんな中でも、医療用医薬品「ハイペン」という薬はかなりCOX2に
だけ作用する薬として広く医療現場で使われています。
残念ながら現状、一般薬でCOX2選択性の薬はありません。
しかし、そのほかの方法で胃をいたわる性質をもった優れた医薬品も
ありますのでひとつ紹介しておきます。
それは医療用医薬品の「ロキソニン」です。
日本の医療現場で最も使用されている薬ですのでご存知の方が多い
ですよね。
これはプロドラッグという独特のスタイルを持った医薬品で、
他の薬には無い特徴です。
飲んだ段階では不活性(役立たずなんです)で消化吸収されてから
「効果を示す型」に変身するタイプの薬で、こうすることで胃や消化管
への負担を軽くしています。
たとえば、ロキソニンと一般薬「B」を半年間飲み続けた場合の患者さんの
データでは、圧倒的にロキソニンのほうが胃腸への負担が軽いということが
わかっています。
さらにロキソニンはボルタレンに次ぐ鎮痛効果がありますので非常に
優れた薬といえます。
ちなみにですが・・・
僕はロキソニンをほめていますが別に第一三共と特別仲がいいわけでは
ありません(^∇^)。薬剤師としての感想です。
今やドラッグストアでもロキソニンが買えますので、もし急な発熱や
生理痛、歯痛などの場合はロキソニンを1stチョイスにすることが
正解だと思いますが、お高いですから、その他はどんなものが良いか
考えてみました。
やはりそこそこ鎮痛効果があって副作用が少ないものと言えば、
イブプロフェンですので、であればナロンエースやイブということ
になります。
とはいえ、一番のお薦めは病医院でドクターに医療用医薬品を処方して
もらうことですが。
薬はカラダにとって異物です。
飲まないに越したことはありません。
しかし、やみくもに我慢してもっと悪い状況を迎えてしまってはいけません。
痛み止めがなぜ胃を荒らすのかが分かると空腹の時間が長い時に
服用するとよくないことも見えてきます。
そういったことを理解しながら薬と付き合うことも大事かもしれません。