日本人は欧米人より腸が長い？？

保険薬剤師の米澤よしゆきです。


菜食主義者の方と話すとよく話題になるのが

「日本人の腸は欧米人より長い」

というもの。


「日本人は古来、農耕民族で菜食主義だから腸が長く、その

長い腸はゆっくり吸収される米等の穀物を消化するのに適している。

長い腸は肉食には適していない。

だから大腸ガンも増えるのだ。

日本人はそういった臓器の構造上からも野菜を中心に

食べるべきだ。」

ざっとこういった論調になっていて、この考え方が

さまざまな菜食ビジネスに使われています。


そういえば日本人は胴長短足のイメージがありますね＾＾


いろいろなネットサイトを見てみると、２倍長いというものから

１．３倍、２ｍだけ長い、４ｍ長い・・・様々でした。


でも本当に日本人の腸って長いんでしょうか？





















気になるので

まずは日米の食生活の違いについて調べてみました。


まず、前提条件である「菜食中心の日本人」「肉食中心の西欧人」という

ところから間違っています。

FAO （国連食糧農業機関）のデータ（food balance sheets）によると

2003年　　総カロリー　うち植物性　うち動物性　　植物性割合
アメリカ　　　3953　　　　　2908　　　　1045　　　73.6％
日本　　　　　2767　　　　　2199　　　　568　　　 79.5％

・・・差がありません。


動物の遺伝子学的には

高等な動物ほど、遺伝子は複雑で進化には時間が

掛かるもので、では人間の「肉食の歴史」はというと

欧米諸国でも、一般庶民が肉を十分に食べられるようになったのは

産業革命以降です。「肉食」は支配階級の特権という時代の方が

長かったようです。

また、もっとさかのぼったとしても、

農業が始まり一般大衆が穀物中心の食事しか摂れない

ようになってから、1万年もたっていません。

とても腸を長くしたり微生物と共生したり、という時間には足りません。

もし、そんな集団が現れたら、これはもうミュータントです。


結論から言うと、

人類の腸の長さは約6.5ｍ～8ｍ、身長により異なります。

人種は関係ありませんし、食生活にも左右されません。


ちなみに、


仲のいい胃腸科のドクターにどう思うか聞いてみました。


彼いわく、

腸は縮んだ状態と伸びた上体で2ｍほど違うので、

都合よく長さを測定すれば差が出来るんじゃない？？

とのこと。


なるほど明快です。