1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/21(金) 21:08:33.42 ID:zxDKHqCa0
妹「やっほー! 会いに来たよ、お兄ちゃん!」
妹「感謝してよね! こんな可愛い妹が来てあげたんだから!」
妹「いやぁ、ここまで来るのは大変だったんだよ? 私だってそこまで体力ある方じゃないんだからさー」
兄「……」
妹「んー。それにしても、綺麗な病室だねぇ。個室だなんて、お父さんたちも金持ちだなー!」
妹「あ、これ……お兄ちゃんの好きな本! 読んでたの? ねぇ、実はもう目が覚めてたり!?」
兄「……」
妹「……」
妹「……そんな訳無い、か……あはは……」
妹「ほんとに、お兄ちゃんは駄目な人だなぁ。飛び降りたんだって? ばっかみたい」
妹「お兄ちゃんが死んじゃったら、二人とも悲しむよ? そんなことも分からなかったの?」
妹「ねぇ、なんで飛び降りたの?」
妹「……私の、せいなの?」
兄「……」
妹「……」
妹「……やや、ごめんね。折角会いに来たのに、こんな話は良くないよね」
妹「おっけー! 妹ちゃん頑張る! もっと明るい話するよ!」
妹「そう言えば、最後に会ったのっていつだっけ。三ヶ月? お兄ちゃんがわざわざ来てくれたんだよねー」
妹「あの時は嬉しかったなー。ろくに歓迎できなくてごめんね? 近くの桜が満開で、あれはあれで良かったんだけど……」
兄「……」
妹「お兄ちゃんが飛び降りたって知った時は、びっくりしたよ。ほんとにもう。すぐに行こうと思ったんだけど、こっちもこっちで色々あってね。ごめん」
妹「まあ……今は落ち着いてるみたいだし。飛び降りた直後のお兄ちゃんを見ても、まともに見れなかっただろーなー」
兄「……」
妹「しっかし普通に眠ってるみたいだよね……あ、眠ってるんだっけ」
妹「よく知らされてないけど、植物状態って訳じゃないんでしょ? なら大丈夫だよ。お兄ちゃんがその気になれば、いつだって起きられるよ」
妹「ふぁいと、お兄ちゃん。私も応援してるよ!」
兄「……」
妹「んー、どうしよっか。まだ時間はあるし、焦ることは無いんだけど……」
妹「そうだ、この前ね、妹友ちゃんが来てくれたの! 他に用事があって近くまで来てて、ついでに寄ってくれたらしいんだけど……久々に会えて嬉しかったなぁ」
妹「ねぇ、幼馴染さんは元気? ふふ、二人が良い感じだったのは知ってるんだよ? 私はそれとなくサポートしてたつもりだったんだけどなー」
妹「こんな姿のお兄ちゃん見たら。きっと悲しむよ、幼馴染さん」
兄「……」
妹「ねぇねぇ、私、まだこの街をぶらぶらしてないんだ。実家にも行ってない!」
妹「久しぶりに帰ってきたのにね。どうしてだと思う?」
妹「それはねぇ……一目でも早く、お兄ちゃんに会いたかったから! えへへ、偉いでしょ? でしょ?」
兄「……」
妹「全くもう、こんな可愛い妹が来てるのに寝たまんまなんてなー!
失礼だと思わない? あ、昔からお兄ちゃんは天然だったもんね。仕方ないかっ!」
兄「……」
妹「失礼……失礼しちゃうよ……本当に……」
妹「……」
妹「……はいっ。今の涙はノーカンだよ。たまたまゴミが目に入っただけだからね。カットでお願いします、プロデューサー」
妹「なんてね。へへっ、じゃあ次は何しよっかなー……私のことはもう話したし……」
ガチャ
妹「! あ……」
母「……」
妹「お、お母さん……」
妹「あ、あいやー……お久しぶり、お母さん。髪切ったんだね」
母「……」スタスタ
妹「でもあんまり変わってないなぁ……白髪が増えた? なんて、へへ、ごめん冗談だよー」
母「……」
妹「あ、この椅子座る? どうぞどうぞ。私は後ろに立ってるからさ!」
母「……兄……元気かしら?」ペタリ
妹「……」
母「今日、ね……」
母「妹の墓参りに、行ってきたの」
妹「……」
母「この時期は、花がたくさん咲いてるの。綺麗だったわ……あの子も、きっと安らかに眠ってくれてるわ」
妹「……」
母「もう、一年になるのね……」
母「家族が三人になってから……あなたはよく頑張ってくれたわ。大学に行かず、私たちのために一生懸命働いて……」
母「……ごめんね。大学に行かせられなくて。私たちの為に、辛い仕事をさせて……本当にごめんなさい」
母「でも……でも。お願い。お願いだから、死なないで」
妹「……」
母「あなたまで、失ったら……私は、私たちはっ、もう……」
妹「……っ」フワ
――廊下
妹「うー、駄目だなぁ。逃げてきちゃった。あの空間に耐えられる自信が無いよ……」
妹「お母さんが帰るまで、どっかぶらぶらしてよっと。時間は勿体無いけど、仕方ないよね」
妹「お母さん……お墓に来てたのかぁ」
妹「……今日はいないのにね。留守にしてごめんね」
妹「……」グスッ
妹「ああ、駄目だ駄目だ! 泣いちゃ駄目! こう言う時こそ笑わないとっ!」
――フロント
妹「どこ行こうかなー……」フラフラ
妹「およ?」
幼馴染「……」
妹「あっ……幼馴染さん! 久しぶりだぁ」
幼馴染「……」テクテク
妹「んー……やっぱり、お兄ちゃんの部屋……行くのかな。どうしよ……」
幼馴染「……?」
妹「……!?」
幼馴染「……気のせい、かな……?」テクテク
妹「え……わ、私の方……見てた……」
妹「……」
幼馴染「……」テクテク
妹「そう言えば……幼馴染さん、小さい頃から霊感があるって、聞いたことあったなぁ」
妹「うーん……見えて欲しいような……欲しくないような……」
幼馴染「……」トントン
妹「あっという間に病室の前。勝手知ったるって感じだねぇー」
ガラガラ
母「あら……幼馴染ちゃん」
幼馴染「兄の、お見舞いに……来ました」
妹「さっきぶり、お母さん」フリフリ
母「いつもいつも、ありがとうね……」
幼馴染「いえ。私には……何も。兄を見舞いに来ることしか、出来ませんから」
母「……ありがとう。私、そろそろ帰るわ。二人っきりの方が、良いわよね」
幼馴染「え……そんな、遠慮なさらず」
母「いいのよ。あの子だって、あなたといる方が嬉しいに決まってるわ」
幼馴染「……分かりました」
妹「……ま、私もいるんだけどねー」
母「じゃ、よろしくね」
幼馴染「……はい」
妹「あ……ばいばい、お母さん」
ガララ
幼馴染「……」スタスタ
幼馴染「……やっほ。兄」
兄「……」
妹「……」
幼馴染「今朝は、雷が凄かったわ。こんな日なのに不吉よね。何事も……無ければいいけど……」
妹「はぁう。確かに凄かったなぁ……久々の雷は、心臓に悪いよ……いや心臓動いてないけど」
妹「なんつってー、にゃははははは!!」
幼馴染「……?」ソワソワ
妹「にゃは……は……」ピタリ
幼馴染「……もしかしたら。妹ちゃんも、見舞いに来てくれているかもしれないわよ?」
妹「っ!?」
幼馴染「こう言う日だものね。……ふふ。何言ってんだろ、私」
妹「……は、ははー……流石幼馴染さん……」
幼馴染「……今日はね。プレゼントを持ってきたのよ」ガサゴソ
妹「おお? なんだろなんだろ。気になっちゃうけど……見ない方が……いいかな?」
幼馴染「はい。ヒマワリの花」
妹「あ……!」
幼馴染「あなたたち、兄妹揃って好きだったものね……ちょっと待ってて。今、活けるから……」
妹「ヒマワリ……ああう、流石すぎて言葉が出ないよ……」
――
幼馴染「はい、完成。どう? これでも練習したのよ……感謝しなさいよね」
兄「……」
妹「わー……綺麗だなぁ……相当練習したんだね……幼馴染さん……」
幼馴染「……夢を見たの」
妹「……?」
幼馴染「……一年と、ちょっと前……まだ、あなたも飛び降りてないし……妹さんも、亡くなっていなかった頃の、夢」
妹「……」
幼馴染「よく、三人で……遊びに行ったわよね。小さい頃から、ずっと……近くの公園で遊んだり、河で泳いだり」
幼馴染「妹さんはあなたにベタベタで、それをあなたは優しく受け入れていて……ほんの少し、ほんの少しだけよ? 嫉妬したりもしていたわ」
妹「……」
幼馴染「……大きくなってからは、買い物をしに行くことも増えた。
当時は、デートなんて単語、恥ずかしくて口にだすことも出来なかったけど……」
幼馴染「あなたと二人で、買い物をしてる時。私はいつも、どきどきしてた」
幼馴染「あなたも……そうだったのかな……」
妹「……」
幼馴染「……ねぇ。こんなこと、言っても……嫉妬にしか、聞こえないのかも……しれないけど」
幼馴染「あの日。あなたと、妹さんが出かけたあの日……」
幼馴染「どうして、私も連れて行ってくれなかったのかな」
幼馴染「私の誕生日プレゼントだなんて。買いに行ったことは、秘密にしておこうだなんて。どうしてそんなこと、考えちゃったのかな」
幼馴染「私なんかのために……そんなドッキリみたいなこと……考え無かったらっ……」
幼馴染「妹ちゃんはっ! 事故に遭うことも、無かったのかもしれないのにっ!!」
幼馴染「あなたたちと……いつまでも、一緒にいられると……思ってたのに……」ポロポロ
妹「……っ」
幼馴染「……ごめんなさい。いきなり……叫んだりして」
幼馴染「私はやっぱり……悔しいの。私のせいなのに……あなたたち二人を、こんな目に……」
妹「……違う」
幼馴染「どうして何もしてあげられなかったのかな……私は」
妹「……違うよ」
幼馴染「あなたまで死んだら……もう、ね――」
妹「それは違うよ!! 幼馴染さんッ!!」バサァァッ!!
幼馴染「――!?」
幼馴染「――え、え? 本が――」
妹「よく聞いてッ!! 私は、私は幼馴染さんのこと、恨んだりなんかしてない!!」
幼馴染「本に……言葉、が……」
妹「私たちは幼馴染さんの為に出掛けたの! 幼馴染さんが好きだから!!」
妹「それがなんで、幼馴染さんを恨むことになるの!? 私が、トラックに轢かれたのは――幼馴染さんのせいじゃない!!」
妹「ずっと好きだった!! ずっと、優しいお姉ちゃんみたいに思ってたの!!
お兄ちゃんだってそうだよ! そうに決まってるよ!!」
妹「だから――そんな風に泣かないでよ。私は……嫌だよ。死んでまで、泣きたくないよ」
幼馴染「……」
幼馴染「妹、さん……?」
幼馴染「……いるのね……妹さん」
幼馴染「今、此処に……」
妹「うん、そうだよ……って、伝わらないか……」
妹「はぁ……疲れた……疲れた、けど……まだ……」
妹「まだ、届いてないよ。お兄ちゃん。私の声……私の、思い」
妹「お願い、聞いて――」
妹「お兄ちゃん!!」
兄「――……」
……②へ続きます