日本画というジャンルは今じゃ世間的にはあまり需要のない、マニアックと見られてしまうジャンルのようです。(自国の、それも絵画という巨大な文化なのに)

和食が好きなら日本画だって見れる、という持論を持っとりますが、こんなに素晴らしい文化を廃れさせるわけにはいかないでしょう。

 

時代が違う人の表現にとっつきにくさを感じるならば現代の日本画家を入り口にすると良い。

僕が好きなのは石踊達哉さん。大ベテランですが。

 

そしてお勧めしたいのはこれ。

平安時代に生まれた日本史上に残る壮大なラブストーリー、源氏物語。

その源氏物語の瀬戸内寂聴さんによる現代語訳版の挿絵を石踊さんが担当しておりまして、こちらはその挿絵を集めた画集でございます。

挿絵といえどしつこくならないようあまり具体的に描きすぎず、象徴的あるいは暗示的に描くよう心がけたと本人の談。

 

僕は源氏物語をしっかり読んだことがないので、シンプルに絵そのものを楽しませていただきましたが、全く見事と言う他なし。

 

基本スタイルは大和絵(この時代に大和絵を描く人がいるというハピネスよ)ですが、琳派などの古典からの真摯な学習成果も見られ、なおかつモダンな要素も加味され見事なバランスで古典と現代が混ざり合い独自の表現に昇華されています。

実際江戸時代の琳派の画家のそれよりも、この方の琳派的な鮮やかな装飾性は現代の人たちにも受け入れやすいのではないでしょうか。

ほら。どう。

 

 

さらに特筆すべきは女性の美しさ。

表紙にもなっている姫君などまさに絶世の美女で、今にも消え入りそうな儚げな雰囲気が見事に表現されていて、男心をくすぐるってもんです。

どうやら石踊大先生は美人画家としても超一流のようです。

 

 

日本画という素晴らしい文化を次の世代につなぐには申し分ない偉大な画家。

日本人よこの人の絵を見て己の中に眠る風雅の心を呼び覚ませ。