ゴッホより普通に狩野派が好き。
さてサントリー美術館開館10周年おめでとうござい。
ということで雨の中お金を払って侵入してまいりました。
この記念すべき10周年の秋、展示されたるは日本絵画史上最大の流派、
その名も狩野派。
その磐石たる地位の礎を築いた男、
その名も狩野元信。
室町時代に生まれた狩野派2代目。この人がいなければ狩野派の大成はあり得なかったかも知れないくらいの重要人物。
ロック史におけるビートルズのような存在でしょうか。
じゃあ具体的に何をしでかしたのかというと、大きく分けて2つ。
まず大和絵の手法を取り入れ狩野派の画業の幅を大きく広げたこと。
そして狩野派の画風の基本的な「型」を創り上げ、弟子たちがその型を模範とすることで、組織としての作画を行うための基盤を固めたこと。
それによって障壁画制作などを弟子たちと共に効率よく取り組むことができたわけです。
それも勿論元信自身の画力の高さがあってこそなのは言うまでもありません。
この展覧会、いきなりお客を出迎えてくれるのは元信の代表作。重要文化財。
『四季花鳥図』。
狩野派らしい力強くも渋味のある作品。
この見事な襖絵で見る者の心をがっつりと掴んだ後は、元信や周辺の絵師らが影響を受けた牧谿(もっけい)などの中国水墨画の巨匠らの作品で画家の背景を見せ、さらに元信の創り上げた狩野派画風の基礎となる「真」「行」「草」それぞれの型による作品の展示など、狩野元信という人物をあらゆる角度からバランスよく紹介してくれているので、一度通えば元信のことはほぼわかるといっても過言ではないでしょう。
まあ元信筆と伝えられていながらも真偽はわからず有力な弟子による絵ではないかというものも多いですが、なにぶん古いので仕方なしでしょう。
むしろそれだけ実力のある弟子を多く抱えていたという事実から、改めて狩野派の層の厚さというものを再確認させられるってもんです。
そういえば奇しくもちょうど同じ期間、出光美術館にて狩野派と並ぶ日本絵画の巨大勢力、琳派の展覧会がやっておりますな。正確には江戸琳派ですが。
こちらもワタクシ行きましてね。酒井抱一と鈴木其一を中心とした展示だってんで行かないわけにはいかんでしょうよ。
これまた素晴らしい内容だったのですが、狩野派が力強く男性的なイメージなら琳派は装飾性が強く女性的。
好みなどあるでしょうがどちらも残り期間わずかなので興味ある方はぜひ。
僕はカマキリ怖い派。