恵比寿駅から10分ほど真っ直ぐ歩いたところにある山種美術館。
日本画専門の美術館で僕自身何度も足を運んでいるとても好きな美術館なわけですが、向かう途中右手に突如現れる等身大ダビデ像のレプリカに毎度目的がブレます。
そんなことは気にせずに現在こちらで開催されている『川端龍子ー超ド級の日本画ー』にお邪魔してきました。
川端龍子(かわばたりゅうし)という人は明治~昭和にかけて大活躍した日本画家で、多くのお客さんが見に来る展覧会という空間において見栄えのする「会場芸術」という表現を確立した人です。その逆に個人が手にとって鑑賞する挿絵などの「卓上芸術」なんていうのもありますが。
しかしやはり会場芸術というだけあって豪快な画風。シンプルにでかい作品なんかもあり遠目から見てもインパクトは絶大。「昭和の狩野永徳」などと呼ばれていたそうですが、当時賛否両論あった中でもこれは最高の賛辞なのではないでしょうか。
いくつか好きなのを。
大作『鳴門』。
強烈だが目にうるさくない青と白の世界。水の音まで聞こえてきそう。
『龍巻』。
不思議構図。これも大きさも含めてインパクトのある作品ですが、やはり「うるさくない」。僕にとってこれ大事。
『爆弾散華』。
戦争中の爆撃により飛び散る瞬間の花を描いたもの。心痛いような思いと同時になんちゅう鮮やかな曲線美かと目が釘付けに。
やはりこれは絵なのです。
『草の実』。
紺紙金泥という手法で描かれた秋の草たち。
全くこんなんがあるから日本絵画を見るのをやめられないわけで。
メチャ素晴らしい。うつくしー。あーほしー。
絵の大きさと紺紙金泥という特殊な方法によりまず客の目を向けさせる会場芸術としての理念は守りながらもしっかり向き合うとやはりそこには日本画の情趣が流れているのです。
他の作品ももちろんそうですが、これは絶対に生で見ましょう。間近で見てこそ感じられる金色の滑らかな筆遣い。尋常でなし。
他にもまだまだ素晴らしき作品はありますが、それにしてもしっかり中身の伴った上での表面上のインパクト、というところは我らも学ぶべきところ。
そしてお笑いでもライブ、テレビ、営業などにより受けるネタの質も変わってきます。
川端龍子の会場芸術はさながらテレビ栄えする実力派。メイプル超合金かな?
しかしやはりどうも美術界というのはお笑いよりも100年は進んでいるような気がします。
ゆえに学ぶことが多いです。
ところで館内にあるカフェ(Cafe椿)にて、本展覧会にかけたオリジナルスイーツ、龍子の作品『松竹梅』の『竹』にかけた『竹取』をいただきましたよ。錦玉羹てやつね。
甘さもちょうど良く見た目も綺麗。冷たい抹茶とのセットで何とも涼しさを感じる一品。
都会ではなかなか得られぬ和みの一時をぜひ皆様も。
あとにゅう麺も食ったウメー。