9月1日 | 椿五十朗

椿五十朗

雇われプロデュサーの覚書

 

  9月1日という日は、

 

学校が始まる日であったり、大正12年の関東大震災の影響か、防災の日であったり、

 

慌しい日である。

 

昭和39年当時は東海道新幹線の開通、首都高速の開通、

 

そして東京オリンピック開催とめまぐるしく日本が変わろうとしていた時であったのだろう。

 

ディンキーリングスタジオ梅が丘の線路をはさんで向こう側、

 

「梅が丘産婦人科」と言う場所で「オギャー」と生まれたわけである。

 

 

 当日、一緒に居られないので、

 

とのことで先日、

 

彼女がレストランを予約してくれて久々にあって食事したが、

 

贅沢にも「トゥールダルジャン東京」であった。

 

 

ホテルニューオータニにある「鴨のフランス料理」で、会員制のレストランである。

 

会員の紹介という事でビジターで予約したそうだが、

 

こう、高級すぎるとかしこまってしまう。

 

煙草でもくゆらしながら一杯 の方が私には向いているのだが、

 

折角のご招待である。

 

彼女もここではマスクもしないで素でいられる唯一の場所だろう。

 

俗っぽい客は皆無である。

 

そして、

 

暑い中、久しぶりにスーツなどを着て出掛けた。

 

久々にスーツなぞを着ると

 

「おじさんになったなぁ~」と実感してしまう。

 

ともあれ、食事である。

 

高級フレンチである。

 

 

素晴らしく美味しいことは言うまでもないが、サービスも最上級でよい。

 

その昔、北大路魯山人は、パリの本店で

 

「鴨には、血のソースより、わさび醤油が合う」と言って、

 

醤油とわさび持参で来店したエピソードがあるが、

 

魯山人というおっさんは、美食を追及するあまり、人の迷惑を顧みず、

 

伝統すら否定する輩で合った事は間違いないな~。

 

まぁ、タニシが好きで、寄生虫がいるとわかっていても、

 

半生が美味しい と

 

美味しさを探求した結果「ジストマ」を患い死んだので、

 

立派と言うか、変人と言うか、何というか。。。

 

 

 そんな大それた事はしないが、

 

私は料理を作る事が好きなので、

 

大抵は、

 

「ほーっ、今度、家でもやってみよう」となるのであるが、

 

ここまでくると、

 

何層にも重なって味わえる伝統の奥の深さに、

 

「自分で作る」と言う下世話な性分も出てこず、

 

退屈なフランス料理であれば、

 

「この間に一服したいな~」など不謹慎な考えも出てくるのだが、

 

しっかりと1品1品堪能させて頂いた。

 

帰り際には「トレーダービックス」に寄らせてもらい、

 

仕事の話や、音楽の話、歴史の話、美容の話(笑)

 

お互い共通の趣味すらないのだが、暫く振りに沢山話せた。

 

 

 

 学生の頃、フランス料理を食べた事の無い私が、

 

母親に「トゥールダルジャン」へ連れてきてもらい、感動し、

 

それを、彼女に話していたので覚えていてくれたのだろう。

 

母親との想い出も蘇ったし、心遣いに感謝である。

 

 

  2ヶ月ぶりくらいに、逢ったが、

 

彼女の顔が少し変わってきている事も気になって(笑)

 

まぁ仕方が無いか。。

 

とりあえず、また秋には、

 

箱根の「強羅花壇」でも連れて行ってあげれたらなと思う。

 

 

まぁ忙し過ぎるのもどうかと思うが、信頼で繋がっていればそれで良いのかもしれない。

 

 

 それにしても、この子には命がけで守った経緯があるので何とも言えないが、

 

その呪縛から解き放ってあげないといけないなぁ~とも思う今日この頃であった。

 

ともあれ、「心遣い、ありがとう」。