エビリファイ・デポ剤+ラポール(死別体験を悼む)で不安発作が消えてきた | 精神科医ブログ、長崎広島原爆・福島原発・コロナ・第二次大戦・北朝鮮ロシア核・児童虐待・DV・レイプ複雑性PTSDの薬物療法

エビリファイ・デポ剤+ラポール(死別体験を悼む)で不安発作が消えてきた

前の「病院~施設」で頻回の入院を認めた女性。

それでも主剤はエビリファイ・デポ剤単剤であった。単剤を維持するのは、その病院のえらいところであるが、「ラポール(精神障害=PTSDのみという確信の共有)」が形成できなければ、新規向精神薬の真の治療効果は引き出せない。

 

トラウマまみれの、その患者の「複合トラウマ」のかなりの部分を占めるのは死別体験トラウマである。「愛しい人たちの死を悼め」と外傷体験の受容を柱にしながら、エビリファイ・デポ剤を続けて、入院をしないで一年半。

 

診察で施設職員が「最近、(不安)発作がなくなってきたねえ」と言った。

 

(え?そんなのあったの?)

 

施設も慣れているから、多少の精神症状はあるでしょと、私にはあえて言わないことが多い。

 

 

扱いづらいが、エビリファイ(+ラポール)が「精神障害=PTSDのみ」に使えるとわかるのは、いいことだ。

 

最強の治療アイテムである新規向精神薬単剤を「精神障害=PTSDのみ」に使うことをあきらめ、薬物治療で得られる「無意識(心)」に関する知見を無視するなら、精神科治療は全て「不治」である。

 

 

こんなもので治るなら、馬のションベンでも飲ませておけばいい。