「盗癖(遺伝にあらず)」症状のあるPTSD患者の認知の歪みと修正治療 | 精神科医ブログ、長崎広島原爆・福島原発・コロナ・第二次大戦・北朝鮮ロシア核・児童虐待・DV・レイプ複雑性PTSDの薬物療法

「盗癖(遺伝にあらず)」症状のあるPTSD患者の認知の歪みと修正治療

幼稚園~小学校で一緒だった女の子の母親は市内でも有名な盗癖があったらしい。でもその女の子は結局医学部に進学した。
毎日新聞だったか盗癖のある女性が赤城高原ホスピタルに「治療」のため入院したという記事があった。「癖」ではなく「病気」だと認知してもらえて嬉しかったという話である。しかし「盗癖」というとどうしても「遺伝的に持って生まれた方向性(癖)」というニュアンスが出てくるが、遺伝子組み換え技術がない限りそう「診断」したらアウトである。

治療できるのは後天的な理由(トラウマ)により発生した行動の歪みだけである。
長く施設入所してる患者の盗癖が発覚して、どうも病的傾向があると入院した。退院後再び窃盗があり、再入院の必要があるか診察した。前回入院中も退院後も診察の主軸は「盗癖」に据えていたのに、わざと「今日来てもらった理由は何だと思う?」と問うと「私がイライラしてることですか?」と「盗癖」について答えられなかった。

全ての患者がPTSD患者である。診察の要点は常に単純化して繰り返して説明し、折りにふれ、本人に説明し直させるのである。いたるところでトラウマによる認知・記憶の歪みが発生していることが明らかになるだろう。
傾聴~聞いて確認してないことをわかったつもりでいてはいけない。PTSD患者はわかってなくてもわかったふりをする。