【遊戯王】オリジナル小説 1 | 蒼氷の鞭が観客に静寂をもたらし、緋炎の鞭が熱狂へ導く2nd

蒼氷の鞭が観客に静寂をもたらし、緋炎の鞭が熱狂へ導く2nd

カードゲームのデッキを紹介するのが主でカードを紹介したり雑談するブログです。二年目です

「先攻は私ね」

 彼方はデッキからカードを一枚引く。

「戦乙女候補生を召喚」

 手札から一枚をテーブルに置く。するとテーブルがそのカードを読み込みプロジェクターから少女が映し出される。その少女の下にはステータスを示す記述が書かれていた。

 総司は彼女が召喚したモンスターに警戒する。

(戦乙女シリーズは仲間が多ければ多い程力が強くなる。特に候補生は展開力があるし厄介だ)

「二枚伏せてターンエンドよ」

 戦乙女候補生の後ろに伏せられたカード二枚が表示される。

(凍香のデッキは全部把握しているわ。凍香は調教師シリーズを使う。調教師の戦士と調教師獣の獣を貴方には上手く操れるかしら)

 彼方は総司の出方を伺った。

「ドロー」

 総司の手札にはモンスターが一体のみ。しかし彼は表情一つ変えなかった。

(調教師シリーズか。戦士と獣の掛け合いが大事になる。見た所、それに合いそうな魔法、罠を入れている。デッキの内容は見ていないがこのカードでデッキが見れる。)

「調教師獣―オルトロスを召喚する」

 総司は手札唯一のモンスターを召喚した。

 プロジェクターから二頭を持つ獣が出現する。

「この効果でデッキから調教師―アルテミスをオルトロスに装備する。アルテミスはユニオン状態の時、装備対象の攻撃力を800ポイントアップさせる。これによりオルトロスの攻撃力は1800ポイントになった。このまま戦乙女候補生に攻撃せよ!」

 二頭の獣が少女に襲い掛かる。お互いが攻撃表示、尚且つ攻撃力が上回ればその分ダメージが相手に伝わる。

「単調ね。罠を警戒しないなんて」

 彼方はテーブルのスイッチを押す。これにより伏せてあったカードが一枚オープンされる。

「次元旅行!」

「エンドフェイズまで二体は除外されるわ」

「更に装備対象が無くなったアルテミスは墓地に送られる。やはりデッキは把握していたか」

 総司は彼方を見つめる。彼方は少し笑っていた。

「当然。それに私は一度も負けた事がないわ」

 高らかに笑う。総司は凍香に顔を向ける。

「調教師シリーズはイラストが好きで上手く回せないんです。すみません」

「大丈夫だ。このデッキなら勝てる」

 総司は小さく言った。

「え?」

 近くにいた凍香だったが言葉が聞こえなかった。

「この構築なら戦乙女シリーズに勝てる。安心しろ」

 総司は先程デッキの内容を見ていた。調教師シリーズにおいての、モンスター、魔法、罠のバランスを上手く取れている。あのカードが来れば勝てるはずだ。

「うん」

 凍香は小さく頷いた。

「カードを二枚伏せてターンエンドだ」

 ターンが彼方に回るタイミングで戦乙女候補生とオルトロスがフィールドに戻る。

「私のターン。戦乙女候補生の効果を発動。このカードをリリースしてデッキから「戦乙女の戦士」と「戦乙女の射手」を特殊召喚するわ」

 少女が消えると女性の戦士と射手が現れる。二人は厳しい赴きでオルトロスを見つめた。

「もう一人増やすわ。戦乙女の槍士を召喚!」

 彼方の前に槍を持った女性が召喚される。

 そして総司は警戒した。

(戦乙女が3種類……あのカードが来るか)

「私は戦乙女の総攻撃を発動するわ」

(来たか。戦乙女たちの攻撃力を倍にするカード。彼女たちの必殺技と言っても良いかもしれないな)

 彼方のモンスターは力が湧いてきた。武器を構え臨戦隊形をとっていた。

「戦乙女の総攻撃によってみんなの攻撃力が倍になる。戦士が4800、射手が3000、槍士が4200の攻撃力になった。全部受けたら負けちゃうよ」

 凍香は心配する。だが総司は負けを認めていなかった。

「戦乙女の戦士で調教師獣―オルトロスを攻撃!」

 剣を構えた女性が二頭を持つ獣を切り裂いた。この戦闘によるダメージは1800ポイント。よって総司の残りライフは2200となる。