裏車掌です。

 

本(ほぼ新書)を紹介する記事を

中心にブログの更新を続けています。

 

本の紹介記事は、

主に日曜日と木曜日の朝7時に

更新となっております。

 

本年もよろしくお願いします。

 

1. はじめに:日本人の4人に1人を死に至らしめる「血管病」の脅威

「日本人の死因」と聞いて、多くの方が真っ先に思い浮かべるのは「がん」ではないでしょうか。

 

しかし、小林順二郎氏の著書『血管年齢』は、私たちが目を向けるべきもう一つの、そしてより広範な脅威を突きつけます。

 

それは、心筋梗塞、脳卒中、大動脈瘤、そして腎不全といった「血管の病」です。

 

 

本書の序章では、日本人の約4分の1が血管に起因する病で命を落としているという衝撃的な事実が語られます。

 

これは個別の疾患としてのがんの死亡率を凌駕する数字です。

 

血管は全身を巡るインフラであり、その劣化は文字通り全身の崩壊を意味します。

 

著者は手術室で長年、生きた血管と向き合ってきた専門医です。

 

コラムの中で語られる「手術室で見た血管の真実」というエピソードには、専門医だからこそ知る、血管の健康がいかに生命の輝きを左右するかという切実な響きがあります。

 

私たちは、自分自身の血管が今どのような状態にあるのか、あまりにも無頓着ではないでしょうか。

 

本書は、その静かなる危機に警鐘を鳴らす一冊です。

 

 

 

 

2. あなたの血管は実年齢より老けていないか?「小林式スコアリング・システム」の重要性

本書の最大の特徴の一つは、第5章に掲載されている「小林式スコアリング・システム」です。

 

医学的な専門知識がなくても、簡単なチェックシートに答えるだけで、自分の「血管年齢」――つまり血管の老化度合い――を客観的に把握することができます。

 

 

驚くべきことに、現代社会においては、実年齢が30歳であっても血管年齢が60歳並みに老化しているケースが珍しくありません。

 

血管の老化(動脈硬化)は「静かなる殺人者(サイレント・キラー)」と呼ばれ、自覚症状がないまま進行します。

 

ある日突然、心筋梗塞や脳卒中で倒れる人の多くは、自分の血管年齢を知らずに過ごしてきた人々です。

 

 

まずは現状を知ること。

 

本書が提案するスコアリングは、単なる数値の提示に留まりません。

 

それを知ることで、どのような予防策を講じるべきかという「守りの戦略」を立てるためのスタート地点となるのです。

 

 

 

3. 最新知見が明かす意外な敵:歯周病と「座りすぎ」が血管をボロボロにする

血管を傷つける要因といえば、高血圧や高コレステロール、喫煙などが定番です。

 

しかし、本書の第3章および第6章では、最新の医学知見に基づいた「意外な敵」がクローズアップされています。

 

 

特に注目すべきは、第6章で独立して語られる「歯周病」との深い関係です。

 

口の中の細菌が血流に乗り、血管壁に炎症を引き起こすことが、動脈硬化を加速させる大きな要因であることが明かされます。

 

「口腔ケアが全身を守る」という視点は、これからの健康管理において欠かせないキーワードとなるでしょう。

 

 

また、現代人に特有の「座りすぎ」や「絶え間ないストレス」も、血管をしなやかさを奪う要因として挙げられています。

 

検査数値だけを見て安心するのではなく、ライフスタイル全体に潜む「血管の敵」をあぶり出す視点は、非常に説得力があります。

 

 

 

 

4. 性差と個人差の科学:血管の健康に「唯一の正解」は存在しない

健康情報は世の中に溢れていますが、本書が秀逸なのは、血管の健康における「性差」と「個人差」を科学的に分析している点です(第2章)。

 

 

男女でなりやすい病気が異なり、血管の老化スピードにも違いがあります。

 

画一的な健康法を押し付けるのではなく、一人ひとりの体質やライフステージに合わせた対策が必要であることを、著者は丁寧に説いています。

 

 

また、興味深いのはコラム4で語られる「側副血行路」の話です。

 

これは、メインの血管が詰まっても別のルートが発達して血流を補うという、人間の体が持つ驚異的な生命維持システムです。

 

自然が与えてくれたこの「第二のチャンス」を最大限に活かすためにも、血管を健やかに保つことの重要性が改めて強調されます。

 

 

 

5. 実践!血管を若返らせるための「理想の暮らし」と食事・運動のヒント

理論を知るだけでなく、それをいかに日常生活に落とし込むか。第7章から第9章にかけて、本書は具体的な処方箋を提示します。

 

 

食事面では、減塩の成功例として有名な長野県の運動を例に挙げながら、具体的な工夫が紹介されます。

 

また、関西と関東の食文化の違いから健康を考察するコラムなど、読み物としても飽きさせない工夫が凝らされています。

 

 

運動についても、「激しいトレーニング」ではなく、血管の若返りに効果的な「持続可能な動き」が推奨されています。

 

ストレス管理においては、画家の長命を例に挙げたコラムもあり、精神的な充足が血管の健康に寄与することが示唆されます。

 

 

著者が説くのは、決してストイックすぎる修行のような生活ではありません。

 

「血管に理想の暮らし」とは、実は人間が本来あるべき健やかなリズムを取り戻すことそのものなのです。

 

 

 

6. おわりに:100年時代を健やかに生き抜くための、一生モノのバイブル

「人は血管とともに老いる」という言葉がありますが、小林順二郎著『血管年齢』を読み終えると、その言葉が持つ重みが違って感じられます。

 

老化は避けられないものですが、血管をケアすることで、そのスピードを遅らせ、病のリスクを劇的に下げることが可能なのです。

 

 

本書は、単なる医学解説書ではありません。専門医としての深い知見と、患者一人ひとりの人生に寄り添ってきた温かな視点が同居した「人生のガイドブック」です。

 

30代、40代の現役世代から、健康長寿を目指す高齢層まで、幅広い読者にとって、今日から始めるべき具体的なアクションを教えてくれる一冊となるでしょう。

 

 

がんよりも多い血管の病から身を守り、最後まで自分らしく生きるために。

 

自分の「血管年齢」を知り、血管をいたわる暮らしを始めることは、自分自身への最高の投資と言えるかもしれません。

 

まずは本書を手に取り、ご自身の血管の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。