裏車掌です。
今年の2月から
本(ほぼ新書)を紹介する記事を
中心にブログの更新を続けています。
3月24日からnoteの方も始めました。
よろしくお願いします
伊藤周平著『日本の社会保障』は、現代日本における社会保障制度の全貌を包括的に捉えた一冊です。
本書では、年金、介護、医療、労災、障害者福祉といった多様なテーマを取り上げ、最新の法改正や判例、高額療養費などの課題について詳しく解説しています。
社会保障の重要性や制度の背景を理解することで、私たちが抱える不安や問題にどう向き合うべきかを考える手助けとなるでしょう。
序章:広がる貧困と生存危機
本書は、貧困の拡大と生存危機が叫ばれる現代社会の中で、社会保障が果たすべき役割を明確にしています。
私たちは、病気や事故、失業など、予測できない困難に直面する可能性があります。
その際、憲法で保障された生存権を実現するための仕組みが社会保障であり、個人や家族、地域の支え合いだけでは不十分な場合に必要不可欠です。
第一章:社会保障とは何か
この章では、社会保障の歴史や定義、主要な制度について述べています。
社会保障は、公的扶助、社会保険、社会福祉、社会手当、公衆衛生といった多岐にわたる要素から成り立っています。
特に、国民の生存権と国の義務としての側面が強調されており、社会保障の本質が理解できる内容です。
第二章:生活保護(公的扶助)
生活保護については、その現状やセーフティネットの重要性が詳述されています。
また、生活保護を受けるための基本原則や保護基準、法定扶助の種類についても触れています。
生活困窮者対策の課題や生活保護裁判の動向も包括的に解説されており、深刻な問題を抱える現代社会の一端を垣間見ることができます。
第三章:年金
年金制度の仕組みや特徴、給付内容、年金財政の現状について詳しく解説されています。
年金改革の動向や、安心できる年金制度の確立に向けた提言もあり、将来の不安を抱える多くの人々にとって有益な情報が提供されています。
第四章:医療
医療保険に関する章では、保険給付や診療報酬制度、医療保険財政について詳しく説明されています。
高齢者医療や医療制度改革の動向についても触れられ、医療提供体制の課題が明らかにされています。
第五章:公衆衛生
公衆衛生の重要性が再認識される中で、感染症法や予防接種法、地域保健法などの法律が取り上げられています。
精神保健福祉法についても言及され、機能不全を招いた教訓と今後の課題について考察されています。
第六章:介護保険と高齢者福祉
介護保険制度の概要や財政状況、利用者や事業者から見た問題点が詳述されています。
負担増や人手不足といった課題が浮き彫りになり、安心して介護を受けられる制度の実現が求められています。
第七章:労災保険と雇用保険
労働保険の現状や労災認定の仕組み、雇用保険の給付について説明されています。
劣化する雇用状況と労働保険の課題に対する警鐘が鳴らされており、労働者の権利を守るための制度の必要性が強調されています。
第八章:児童福祉・保育と子育て支援
児童福祉法や保育政策、児童手当などの制度が取り上げられ、少子化対策や児童虐待防止のための施策について考察されています。
保育士不足や保育事故の増大といった課題も浮き彫りにされ、今後の取り組みが求められています。
第九章:障害者福祉と障害児の療育
障害者福祉の改革史や障害者総合支援法について詳述されています。
障害者や障害児への社会手当、療育の重要性が強調され、家族への負担軽減が求められる現状が示されています。
第十章:社会保障の財政
社会保障財政の特徴や消費税による財源確保の問題点が指摘されています。
歳出削減が社会保障費に集中する現状に警鐘が鳴らされ、税制改革や社会保険改革の方向性が論じられています。
終章:社会保障はどこへ向かうのか
本書の締めくくりでは、未来の社会保障制度に対する展望が語られています。
財源確保のための改革の実現可能性や、社会分断を煽る議論に対抗する必要性が強調されています。
政策転換の岐路に立たされている日本の社会保障制度は、今後どのように進化していくのか、私たち一人ひとりが考えるべき課題です。
結論
『日本の社会保障』は、複雑な制度を理解するための貴重な資料であり、社会保障の重要性を再認識させる一冊です。
伊藤周平氏の鋭い視点から、現代の課題に対する解決策を模索する手助けとなることでしょう。
社会保障制度の理解を深めることで、私たちが直面する未来の不安を少しでも和らげることができるかもしれません。