裏車掌です。


今年の2月から

本(ほぼ新書)を紹介する記事を

中心にブログの更新を続けています。

 

3月24日からnoteの方も始めました。

よろしくお願いしますお願い

 

今回は、釘原直樹氏による「集団はなぜ残酷にまた慈悲深くなるのか 理不尽な服従と自発的人助けの心理学」の紹介です。

 

この本は、集団の中で人々がどのように行動するのか、特に「理不尽な服従」と「自発的人助け」という二つの側面から深く掘り下げています。

 

 


集団と個人の心理

 

第一章では、個人が集団の中にいるとき、どのようにその影響を受けているのかについて詳しく説明されています。

 

人は、集団の意見や行動に同調しやすい存在であり、特に集団が強い感情を持った場合、その影響はより顕著です。

 

たとえば、ある特定の意見が多数派となると、少数派の意見は無視されることが多いです。

 

このような現象は、集団の中での「安心感」や「帰属意識」が影響していることが示されています。



服従の実験


第二章では、著名な服従実験について言及されており、特にミルグラム実験が取り上げられています。

 

この実験は、権威ある人物が指示することによって、一般の人がどのように倫理的な判断を揺るがされるかを示しています。

 

著者は、この実験を日本で再現し、文化的な背景がどのように結果に影響を与えるかを探求しています。

 

実験結果は衝撃的であり、私たちが思っている以上に、集団や権威に対する服従は根深いものであることがわかります。



慈悲深さと残酷さの二面性
 

この章では、集団の中で見られる二面性、つまり慈悲深さと残酷さについて考察されます。

 

具体的な例を挙げながら、ある集団が困難な状況に直面した際に、メンバー同士が助け合う一方で、外部の人に対しては冷酷な態度をとることがあるといいます。

 

このような現象は、集団の中での「内外の区別」が強まることが原因となっています。

 

著者は、このような心理的なメカニズムを解明し、私たちがどのように行動するかを再考させます。

 






 

著者の考察

 

釘原直樹氏は、心理学の専門家としての豊富な経験を持ち、本書を通じて集団の中の人間行動を深く理解しようとしています。

 

彼の考えは、単に学術的なものに留まらず、私たちの日常生活においても適用可能です。

 

たとえば、職場の人間関係や友人関係など、さまざまなシーンにおいて、集団の影響を受ける場面は多いです。

 

また、著者が実施した日本版の服従実験は、文化的な背景を考慮した上での新たな発見につながっています。



現代社会への示唆
 

本書は、現代社会における集団行動の理解に重要な示唆を与えてくれます。

 

特に、SNSなどの影響で集団心理がより顕著化している現代では、個人の意見が埋もれてしまうことがあります。

 

このような状況で、自らの意見を持ちつつも、他者の意見を尊重することが求められます。

 

また、集団における残酷さを目の当たりにしたときに、自らがどのように行動するかを考える機会を与えてくれます。

 

 



まとめ

 

釘原直樹氏の『集団はなぜ残酷にまた慈悲深くなるのか 理不尽な服従と自発的人助けの心理学』は、心理学的な視点から集団行動を探求した興味深い作品です。

 

本書は、集団の中にいる際の自らの行動を反省するための良い材料を提供してくれます。

 

集団の中で何が起こるのか、そしてそれが私たちにどのように影響を与えるのかを考えることは、今の時代において非常に重要な課題となるでしょう。