2)縄文人に虫歯が意外に多かった理由

2015年6月23日

江部康二 / 高雄病院理事長

古人骨から虫歯を探してみたら

 今回は、縄文人の虫歯率が意外に多かったのには、糖質が関係しているという話です。具体的には縄文人の虫歯率は8.2%でした。30%を超える現代日本人や、農耕が始まった弥生時代の16.2~19.7%よりは低いのです。しかし、近現代イヌイットや、7600~3000年前のアメリカ先住民が3%未満であるのに比べると、縄文人の虫歯の多さは際だっています。人類史と虫歯の関係がとても興味深かったので、「古病理学辞典」(藤田尚編、同成社)を読んでみました。151ページの表1に古人骨における虫歯率の比較が載っていましたので、以下一部を抜粋してみました。

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 ちなみに、農耕を開始して穀物(糖質)を食べ始めて、虫歯が倍以上に増加したのは日本だけではありません。世界中で確認されています。虫歯菌の代表として知られるストレプトコッカス・ミュータンスなどの餌は糖質なので、さもありなんです。

原因は主食の木の実に含まれる糖質

 縄文人は、「採集」「漁労」「狩猟」の三つのなりわいで食べ物を手に入れていました。縄文時代というと、狩りで得た肉を主に食べていたというイメージが強いのですが、実際には植物採集の割合が高かったと考えられています。特にクリ、クルミ、トチ、ドングリ類などの木の実は主食といえるほど食べていました。これらには糖質が一定量含まれていますので、昔のアメリカ先住民やイヌイットよりも、虫歯率が高かったのだと考えられます。

 日本の旧石器時代は、ナウマンゾウ、オオツノジカ、マンモス……といった動物を狩る狩猟が主ななりわいでした。これらには糖質はほとんどなく、この時代の日本人は、虫歯率はほぼゼロだったと言われています。ちなみに日本の旧石器時代は、最終氷期(ウルム氷期)と呼ばれるかなり寒かった時期で、針葉樹林に覆われた地域が多く、そこでは食料となる植物資源は極めて乏しかったのです。

 縄文時代でも、北海道の住民には虫歯が少なく2.4%くらいでした。これも当時の北海道の環境や食生活が関係していると考えられます。北海道の縄文人は「漁労」「狩猟」の二つが主ななりわいで、魚や海獣類を好んで食べていたようです。このため糖質摂取が少なく、虫歯率も低かったのでしょう。

歯磨きをしなくても虫歯が少なかった大昔の人

 日本において、つまようじを用いた歯の掃除の習慣が民衆に広まり、需要が拡大したのは江戸時代以降と言われています。現在の歯ブラシによる歯磨きは明治以降です。弥生人も縄文人も旧石器人も、現在のような歯磨きはしていません。ということは、歯磨きをしなくても、糖質さえ取らなければ虫歯の発生率はかなり低かったということになります。げに、糖質恐るべしですね。


http://mainichi.jp/premier/health/entry/index.html?id=20150622med00m010003000c  より転載



最近流行りの糖質制限に関わる記事ですが 糖質制限の可否はともかくとして データとしては面白いデータですね。

最近流行りの糖質制限をしたら 虫歯が減った とかいうデータも現代からも出てるんですかね。