インプラント認定医試験前、他人の治療例借りる

2009年1月12日3時1分

 歯科インプラント治療を手がける国内の歯科医を指導する立場にある複数の歯科医が、ドイツに本部を置くインプラント国際学会の認定医試験を受験する際、他の歯科医の治療例を自身のものと偽る目的で、治療の記録や術前・術後の写真を借りていたことが分かった。一部の歯科医は取材に対し、実際に虚偽の書類を提出して認定医の資格を得たことを認めている。

 問題になっているのは、会員約1万人を擁する欧州最古のインプラント学会「DGZI」(ドイツ口腔(こうくう)インプラント学会)の認定医資格。他の歯科医の治療例を借りたとされるのは、DGZIの日本支部を統括する国内の学会「AIAI」(最先端インプラント国際学会)の会長職を10月に辞任した竹前健彦(やすひこ)氏(65)のほか、現職のAIAI幹部3人を含む、少なくとも計5人。

 5人は01~02年にドイツであったDGZI認定医試験に合格した。

 竹前氏らが借りたとされるのは、国内におけるインプラント治療の草分け的存在の一人で、勉強会「総合インプラント研究センター」(横浜市)会長の津末(つのすえ)臺(うてな)氏(79)の治療例。

 津末氏によると、5人は当時、この勉強会のメンバーだった。当時の受験要項では、自身やチームで手がけた患者8人分の治療例を示す口の中の写真やX線写真などの資料が必要だった。学会発表などで資料を豊富に保管している津末氏の治療例を借りることになり、津末氏の医院に集まって適当な治療例を分け合ったという。

 津末氏は提供を認め、「計40人分の治療例すべてを提供した。安易に貸した私にも責任がある。保険指定医の資格を返上する」と話している。

 竹前氏は昨年3月、津末氏の治療例で申請・合格したことを認めたうえで、「術前の写真がなかったため、8症例すべてを借りてしまった」などと述べ、AIAI会長職の辞任や認定医資格返上の意向を示していた。その後は発言を撤回し、「一度は借りたが、実際に提出した書類には自分の医院での治療例を使った」と疑惑を否定している。

 別のAIAI幹部は、8治療例のうち一部を借りて提出したことを認め、「本当は自分の症例でやりたかった。入れなきゃよかったなと思う」と述べた。

 他の3人のうち1人は全面的に不正を認めた。残る2人は01年の受験は渡航直前に取りやめ、02年に受け直した。2人のうち1人は、治療例を借りたことは認めたが、翌年の受験の際は自分の治療例で申請した、と述べた。残る1人は疑惑を否定している。

 DGZIは、国内外で高い評価がある。国内では「日本口腔インプラント学会」が有名だが、認定医(専門医)になるには、指定施設での100時間近い講習受講や論文発表などの要件がある。論文などの必要がないDGZI認定医資格は、権威のうえでも取得要件のうえでも魅力があったと思われる。(抜井規泰、塩原賢)

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 インプラント治療 歯が抜けたあごの骨に金属の人工歯根を埋め、その上に義歯をかぶせる。入れ歯と違い天然の歯と同じようにかめるうえ、見た目も自然。60年代から欧米で普及した。

 国内では、日本口腔インプラント学会が最も権威がある。そのほか、メーカー主宰や、歯科医の研究会から発展した学会など、数多くの学会が独自の認定医資格を与えている。世界最大規模の学会は米国のICOI(国際口腔インプラント学会)。欧州では、DGZIなどドイツの3団体が大組織として知られる。海外の学会と提携する国内学会では、AIAIやICOI日本支部などがある。

http://www.asahi.com/health/news/TKY200901110151.html

歯科インプラント認定医、受験資格満たさず「合格」も

2009年1月13日9時32分

 欧州屈指の歯科インプラント国際学会「DGZI」(ドイツ口腔(こうくう)インプラント学会)日本支部の認定医の中に、受験資格を満たさないで合格した若手歯科医が複数いることが、朝日新聞の調べで分かった。

 DGZIを巡っては、同学会の日本支部を統括する国内の学会「AIAI」(最先端インプラント国際学会)の現職幹部らを含む5人が、ドイツ本国で認定医試験を受ける直前に、ほかの歯科医の治療例(症例)を借りていたことが明らかになっている。

 要項に定められた受験資格を満たしていないことが判明したのは、歯科医になって3カ月~2年8カ月だった6人で、いずれも05年の試験で合格した。インプラント治療は術後の経過観察が重要で、当時の受験要項では、3年以上経過した治療例の提出を義務づけていた。

 関東地方の歯科医は受験当時、歯科医になってまだ1年。「提出した10の治療例はいずれも3年を過ぎていなかったので、ばれたら受験をやめればいいと思ったが、合格した」と話した。

 AIAI理事の医院に勤務していた歯科医も4人含まれている。ある理事は「(受験者の)動員をかけるよう理事会でいわれ、プレッシャーがあった」としている。

 AIAIは「疑わしい歯科医は処分した。理事がかかわっていたかも調べる」としているが、処分した人数などについては確認中という。

 AIAIの認定医試験では現在、「手術後3年以上経過の症例提出」という受験資格そのものを撤廃している。これについて「インプラントは一定期間機能して初めて『成功例』といえる。認定基準や審査は厳格であるべきだ」との批判もある。AIAI側は「出された症例をみれば、術後何年経過しているかは常識的に分かる」としている。

 AIAIでは、第1回試験が行われた05年から1年足らずの間に600人以上の認定医が生まれた。ホームページによると、現在の認定医は731人。

 受験資格で5年以上の学会在籍歴や論文発表、計100時間近い講習の受講なども課している「日本口腔インプラント学会」では、98年から11年間で約500人が認定医(専門医)になっている。

 同学会の幹部は、「高度な技術を要するインプラント治療で歯科医が独り立ちするには、少なくとも数年は必要。歯科医に成り立ての若手を認定医にするのは安易だ」と指摘する。

 AIAI側は「日々の業務に忙しい開業医たちを、臨床の実力で評価するための試験だ。日夜努力して優秀な人たちがたくさんいるということ」としている。(抜井規泰、塩原賢)

http://www.asahi.com/health/news/TKY200901120206.html


朝日新聞昨日の朝刊そして今日の朝刊に掲載された記事です。


一面と社会面に掲載されていたので目に触れた方も多かったのではないでしょうか。


ところで 学術会議いわゆる学会として一番大きな組織は 日本歯科医学界です。

その専門部会で認められているのは21分科会です

それ以外にも国内には 色々な学会(学術会議) 勉強会 スタディグループなどが無限にあります。

中には怪しげな組織も含まれています。 そんな組織の認定医は会員になれば立派な盾がもらえたりするのです。

現在厚生労働省は認定医として標榜してよい学会を通達として出しています。

が一般的にはなかなか知られていないでしょう。


コンビニの2倍以上もある歯科医院の中から 患者様が歯科医院を選択するのはなかなか大変だと思います。

そんなときに一つの基準になる資格にこんなことがあると業界全体が疑われてしまいます。


資格ビジネスは何も医療業界だけでなく 社会的にも色々問題になってきています。


歯科医院を選択する基準。

まず真面目に当たり前なことをする (説明・滅菌・消毒・ラバーダム防湿・等々・・・・。)

少なくとも当医院ではそれが一番大事であると思っています。

なので今のところ 色々な学会でもらった感謝状や表彰状 受講資格証明等々しまってあります。