今日、お客様に

「シャンプー、気持ちよかったです」

って言ってもらいました。



たった一言。

でも、胸の奥がじんわり温かくなって、

心が静かに震えました。


──10年前。

美容師の世界に飛び込んだばかりの私は、

右も左もわからなくて、

先輩たちに教わりながら、

一つずつ技術を覚えていきました。


シャンプーは、

初めて「自分の手で人を喜ばせることができる」と思えた、

特別な仕事でした。


でも、

シャンプーに合格してからも、すぐに上手になれたわけじゃなくて。

お客様の首元を濡らしてしまって、

「すみません…」って小さな声で謝った日も、

「遅い!もっとリズムよく!」って

先輩に厳しく言われて、落ち込んだ日も、何度もありました。


帰り道、

「私には向いてないのかな」って思ったこともあるし、

営業後の練習が終わらない夜に、

心の中で何度も

「ああ、もう辞めたいな…」って呟いたこともありました。


でも、それでも、

なぜか心のどこかで、

「もっと上手くなりたい」って思ってた。


お客様に喜んでもらえるあの瞬間が、

ただ、それだけが、

小さな希望みたいに光っていました。




だから、今日。

「シャンプー、気持ちよかったです」

そう言ってもらえた瞬間、

10年前のあの日々が、一気に胸に押し寄せました。


いまの私がいるのは、

あのとき諦めなかった自分がいたからだし、

どんなに年月が経っても、

お客様のひとことが私を支えてくれていること、

それはきっと、これからも変わらないと思います。




最近、

新人の子が2人海老名には入ってきたのですが、一生懸命シャンプー練習をしています。


ぎこちない手つきで、でも一生懸命に。

その姿を見ていると、自然とあの頃の自分を思い出します。


「頑張れー!照れ

心の中でそう声をかけながら、

これから待っているたくさんの大変なこと、

でもその何倍もある楽しいこと、

一つひとつ乗り越えていくんだろうなって、

とても温かい気持ちになります。


あの頃の自分にも、

今頑張っている新人の子たちにも、

そしてこれからも美容の仕事を続けていく未来の自分にも、

優しく、エールを送りたいです。



あのころ夢中でがんばった自分にも、

いま目の前で笑顔を見せてくださるお客様にも、

心から、ありがとうって言いたいです。


これからも、

“技術”だけじゃなく、

“心”ごと届く仕事をしていきたい。

そう、改めて思いました。


いつも支えてくださる皆さま、

本当にありがとうございます。

これからも、どうぞよろしくお願いします。