日本新年あけましておめでとうございます。日本

 

やしの木 Peppermint Film Workers since 1984 やしの木

を、今年もよろしくお願い致します。

 

 

と言うには遅すぎた今日12日、朝イチ(9:05の回)で

「ゴジラ -1.0/C」

を観てきました。

 

 

(え? 3回目? バカなの?)

 

と思うなかれ。

よく見て欲しいのですが、

 

「ゴジラ-1.0」の後ろに「/C」が付いてるでしょ?

これは「ゴジラマイナスワンマイナスカラー」と読むのです。

そう、今回観たのは

「ゴジラ-1.0」から色を抜いた白黒版なのです。

だからこらもう全くの別物なのです!

 

 

(白黒って、劣化版かよ)

 

とか思ったら大間違い。

逆にカラー版に比べてとんでもなく迫力がマシマシになっているのです!

 

 

まずは、山崎貴監督のコメントを読んでください。

 

■山崎貴監督 コメント全文-----------------------
長い間作業してもらっていた『ゴジラ-1.0/C』を発表できることとなりました。ただモノクロにするのではなく
それこそカット単位で、新たな映画を創り上げるくらいの勢いでさまざまなマットを駆使しながら調整してもらいました。目指したのはモノクロ写真の名匠達が撮ったような画調。撮影されたデータに潜んでいた肌の質感や風景のディテールをこれでもかと発掘してもらいました。
するとそこにはドキュメンタリーの様な凄まじく恐ろしいゴジラが現れました。色を無くしたことで新たに迫ってくる現実感。ぜひ劇場で更なる恐怖に生きて抗って下さい。

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これね。

大袈裟でも何でもないんですよ。

ただ色情報を抜いただけでなく、

細部にまで明るさと暗部の調整を行っていて、

画面の奥行きは言うに及ばず、

例えばゴジラや役者の肌の質感とかが

圧倒的なリアリティと共に浮かび上がってくるんです。

 

 

ちなみに、ここで言うマットとは

画像からある部分を切り抜くための情報のこと。

普通は色情報をもとにマットを作ったりします。

 

例えば肌色でマットを作って

肌をオレンジっぽく仕上げて

ティール&オレンジのグレーディングをします。

 

Photoshop使ったことがある人には

「マスクを作る」

と言った方が分かりやすいかな。

 

 

あと、

カラー画像から単純に色情報を抜いただけでは

こんな迫力のある画にはなりません。

普通、コントラストの弱い眠ったい画になってしまいます。

 

だからと言って

単純に画面全体に一律にコントラストを上げると

どうしても黒潰れや白飛びが起こってしまいます。

 

そこで、カットごとに

狙った対象に対してそれぞれマットを作り、

丁寧に緻密に調整していったわけです。

 

©TOHO

 

例えばこの写真では恐らく

ゴジラのマットと背景のマットを作り

ゴジラの暗部を引き締め立体感を際立たせていると思われます。

 

海のシーンでは、

空のマット、海のマット、ゴジラのマット、船のマットは絶対作ってるはずです。

下手したら乗ってる役者のマットも作ってるかも。

 

そうやって、

ワンカットワンカット、丁寧に作り込んでいったからこそ

あの迫力のある画が出来上がったのです。

 

 

そして、色情報が無いことで

観客は様々な感覚の変化を体験することになります。

 

 

1)ゴジラの存在感&恐怖が圧倒的

ゴジラの肌の質感は言うに及ばず、

画面の中で圧倒的な存在感で圧倒的に恐ろしいです。

例えばゴジラが再び神奈川に上陸した時、

民家を踏みつぶしながら歩くのですが、

その足のディティールがはっきりと見てとれて、

圧巻のリアリティと共に恐怖を醸し出すのです。

 

 

2)役者の演技力がダイレクトに画面に出る

神木隆之介さん演じる敷島浩一の絶望や覚悟した時の目の力。

吉岡秀隆さん演じる野田健治の不安ながらの必死さ。

安藤サクラさん演じる太田澄子の怒りや悲しみを内包した思いやり。

青木崇高さん演じる橘宗作の技術者の誇りと祈り。

そんなものがカラー版よりも遥かに鮮明に感じ取ることが出来るのです。

つまり、白黒という画が役者の演技力をいっそう際立たせてしまうのです。

逆に言うと、

下手な役者はさらに下手に見えてしまう可能性があるのです。

幸い「ゴジラ-1.0」には下手な人は1人もいないので

このことは検証できませんでした。

 

 

3)聴覚が研ぎ澄まされる

なぜか音に対してとても敏感になります。

ゴジラの咆哮、歩く重量感や

戦闘シーンの迫力が増すのはもちろんのこと、

ドラマパートの無音に近いシーンの静寂が

カラーよりひと際強く感じ取れるのです。

 

 

4)画面のリアリティと臨場感がすごい

戦後間もないと言う時代背景に

この白黒と言う映像がマッチしているだけでなく、

背景の廃墟、がれき、家屋などの質感がカラーよりはっきりと感じられ、

時代の空気そのものを再現しているかのようです。

ドラマへの没入感はカラーより確実に深いです。

 

 

5)白が美しく黒が恐ろしい

例えば「新生丸」をゴジラが追うシーン。

カラーでは、空は曇りがちながら少し青っぽく、海は青く美しく、

そしてゴジラは深いグレーに様々な色が乗っています。

色設計としてとても美しく迫力があり充分怖いは怖いのですが…。

ところが白黒では、空はグレーに、海は黒くなります。

その黒い海を背景に黒いゴジラが迫ってくるのです。

その黒基調の画にはひときわ重厚感があり恐ろしさ倍増です。

かと思えば、

ゴジラの放つ熱線は、神々しいほどの白い輝きで映し出され

息をのむほど美しいのです。

 

 

 

とまあ、思いついたことを書きなぐってみましたが、

色情報が無いだけで

何故これほど人間の感覚が研ぎ澄まされて

映像の見え方、モノの感じ方まで変わってしまうのか

不思議でたまりません。

 

本当に貴重な体験をさせてもらいました。

 

もちろん、こんなことが成立するのも

元のカラーの「ゴジラ-1.0」が素晴らしいからにほかなりません。

 

可能なら、「ゴジラ-1.0」「ゴジラ-1.0/C」の両方を

見比べて欲しいです。

 

 

 

 

ハッキリいます。

「ゴジラ -1.0/C」

は、ただ「ゴジラ-1.0」を白黒にしただけの怪獣映画ではありません。

 

 傑作映画 です。

 

まだ観ていない人はマジで映画館に急いだほうがいい。

観て損しないどころか

観なきゃ一生後悔します。

 

 

 

 

 

 

ゴジラ-1.0は日本映画の伝説になる!

やしの木 Peppermint Film Workers since 1984 やしの木

はゴジラ-1.0を応援しています。