8mm自主映画『みちのり』の朧げな思い出シリーズです。
どこだかわからない真っ暗な広場にバイクが止まっている。
そこへ1台のバイクが入ってくる。
入ってきたバイクに乗っていたのは「宏明」。
で、なんやかんやライダーと話して「宏明」が走り去る。
『みちのり』のファーストシーンです。
実はこのシーン。
全くの撮りなおしで、当初の台本、絵コンテと
全然違うものになっています。
なぜ撮りなおしたのか。
それは恐ろしいことに、
撮影したフィルムを“失くしてしまった”から
なんです。 ( ノД`)シクシク…
現在、キービジュアルになっている
シルエットになっているバイクと「宏明」のカット
は『詩宮市』を見下ろす国道沿いで撮影したものです。
このカットだけ先行して撮影したのは
背景にどうしても“海”が欲しかったからです。
その後、別日で
広場までバイクで走ってくるカット
広場でサーファーと会話をするカット
広場から走り去るカット
を撮影することになっていました。
それではシーンに合わせてカットを並べてみましょう。
■オープニング・ロゴ
■広場までバイクで走ってくるカット
■シルエットになっているバイクと「宏明」のカット
■広場でサーファーと会話をするカット
■広場から走り去るカット
■タイトル
つまり、
シルエットになっているバイクと「宏明」のカット
が真ん中なので、
前後のカットはそれに画を合わせなくてはなりません。
と言うわけで別日の撮影は
シルエットになっているバイクと「宏明」のカット
に合わせて、薄明の中で撮影すべく
徹夜で明け方を待ち、
多摩丘陵の造成中の高台で行いました。
薄明の広い空さえあれば海は映ってなくていいので、
会話もバイクの出入りも高台で撮影してOKなのです。
と言うかむしろ、空以外の背景がいらないので
高台がベストだったのです。
撮影当日はいい感じの夏の朝の空でした。
明るさは逐一変化するので順撮りです。
薄明りの中、ほとんどNGもなく
予定通り日の出前に撮影を終えることが出来ました。
みんなひと安心です。
いそいそと撤収作業にとりかかりました。
ところがみんな徹夜明けです。
安心からか睡魔に襲われ、早く帰って眠りたいので
いつもはちゃんと行う確認作業を怠ってしまいました。
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1週間以上あと、
現像から上がってきた数本のフィルムを確認して、
高台で撮影したフィルムが無いことに
初めて気付きました。
しかし、気付くのが遅かった。
今さら現場に戻ったところで
絶対にフィルムなど見つかるはずがない。
しかも困ったことに
この時にはもう、
あのXL250はすでに持ち主に返してしまっていて
最早撮影し直すことは不可能なのです。
どうするか対応策を決めきれないまま
季節は夏から秋へと移っていきました。
「こうなったら違うバイクで撮るしかない!
最低条件は250ccのオフロードバイクで」
そう決心し知り合いを当たっていると
先輩が250ccのオフロードバイクに乗ってることが判明。
ただ、メーカーはYAMAHAで色は白。
「宏明」のバイクはHONDAで色は赤。
色も形も全く違います。
A 「うーん。薄明で撮ったら絶対にばれちゃうなぁ」
B 「じゃあ、真っ暗なら分からないんじゃない?」
C 「真っ暗の中にサーファーが突っ立ってるの?w」
B 「それ、ただのヤバいやつじゃんww」
A 「じゃあ、他のバイク乗りが休んでるってのは?」
B・C「それだ」
ということで、現在のシーンが誕生したのです。
で、
シルエットになっているバイクと「宏明」のカット
は、撮りなおした真っ暗なカットと繋がらないので、
「深雪」のナレ終わりの位置に移動し
晴れてキービジュアルとなったのでした。
【業務連絡】
その時落とした8mmフィルムを拾った方は、至急
Peppermint Film Workers since 1984
まで連絡ください。
よろしくお願い致します。