8mm自主映画『みちのり』の朧げな思い出シリーズです。
8mm自主映画『みちのり』をデジタル化するにあたり
100回は本編を見ることに。
実はそれだけ見てるのに、
なかなか撮影当時のことは思い出せないんですが
画面から気付かされることはたくさんありました。
当時の僕たちは、
本当に技術的にいろんなことを試してみたかったんだな~
と、ひしひしと感じるんです。
以前にも書きましたが、
「ドリーの多用」や「怪我のメイク」はその最たるもの。
それ以外にも細かいところでいろいろなことをしています。
実はなんと「ピン送り」を2回もしてるんです。
そう。皆さんご存知のあの有名な「ピン送り」を、です。
あ。確認のために書きますが「ピン送り」って、
遠くと近くに2つの被写体がある場合、
近くにピントをあわせることを「前ピン」といい、
遠くにあわせることを「後ピン」というじゃないですか。
そのピントを「前ピン」から「後ピン」に
もしくは逆の
「後ピン」から「前ピン」に変えることを「ピン送り」という、
と言う認識であってますよね?
実際、「ピン送り」が決まるとすげー映画っぽくてカッコイイんですよね。
映画撮ってたんだけどw
1回目は、
「宏明」が墓の前で振り返ると「直美」が立ってる
その「宏明」から「直美」へのピン送り。
「前ピン」から「後ピン」に変えるバージョン。
2回目は
競艇場前駅の看板の前に「宏明」が走り込み
その看板から「宏明」へのピン送り。
「後ピン」から「前ピン」に変えるバージョン。
まあ、どちらもレンズの性能がイマイチで
ピントを送ってるのはわかるけど
確実にピントの芯が移動したか良くわからない
ってのが正直なところですかねぇ。
うん。
でも、1986年の僕たちは頑張ってたんだ。
それだけは良くわかります。
ところで、最近は「ピン送り」を
「プルフォーカス」とか言うらしいですね。
でもなんか僕には馴染みがないなぁ。
ちなみに
ピント(オランダ語)=フォーカス(英語)=焦点(日本語)
なので
日本人なら「焦点送り」と言うべきなんでしょうけどw
あぁ、あと私見ですが、
最近はやりの「パンフォーカス」って僕はあまり好きじゃない。
ただでさえレンズ性能が上がって画質も4Kで
細かいところまで写って情報過多な映像なのに
画面の隅々までピントが合ってたら
もう画がゴチャゴチャしちゃってうるさい。
ボケを使って情報を整理するのが腕の見せ所でしょ?
もちろん黒澤明監督やヒッチコック監督のように
明確な演出意図のもと
計算して効果的に使われるのであれば
こんなにカッコイイ画作りはない。
でも何でもかんでも情報を丸投げして
観客に取捨選択させるのはダメだと思います。
特に、
こちらに歩いてくる人物をピントで追うのが面倒だから
と言う理由で使ったパンフォーカスほど
だっせえものはないと思います。
とはいえ自主映画なんて
何を撮ろうが、どう表現しようが、
それはその人の自由です。
だからあくまで僕の個人的好みの話です。
映画に憧れて真似をする。
Peppermint Film Workers since 1984
はそういうところから技術を学んでいきました。