前回も書きましたが秋になるとなんか物思いに耽ってしまうものです。
音楽的にもファンキーなものよりも、もっとこうなんというか、内省的なもの
に思わず手が伸びてしまいます。ソウル系なら心に染み入るバラードとか。
今回はそんなわけでまさに「ジェームズ・ブラウン的価値観ゼロ」の
視点から、秋の夜長にピッタリな1曲をご紹介したいと思います。
スザンヌ・ヴェガというN.Y.を代表するフォーク・シンガー、一番売れ
ていたのが80年代後半なので、一定以上の年齢の方なら「あ、あの味の素
AGFのCMで流れていた人ね」というどうでも良いトリビアを共有してくれること
でしょう。
僕が彼女の音楽に夢中になったのは「二ール・ヤング期」(18~26歳)と
ほぼ重なります。デヴュー・アルバム「スザンヌ・ヴェガ」が出たとき、
当時、うるさ型なライターが多かった「ロッキン・オン」誌上で異例とも
言えるほどの大絶賛ぶりだったので(というかジャケ写に惹かれて
…)思わず買ってしまいました。歌声の素晴らしさ(人によっては「唄」と言える
ほどのものじゃないという意見もありますが)、そしてなんとも奥深い歌詞の
世界にすっかりやられてしまいました。
残念ながらこのデヴュー・アルバムを超えるものはご本人も未だに創り
出せていないようですが、でも2枚目のアルバム「孤独」も相当に良いです。
2度目の来日(90年ごろかな?)は思わず3日連続で東京厚生年金
会館でのライブに行ってしまいました。ライブで拝見した彼女は、
か弱いイメージとはむしろ真逆な、タフでシニカルな自立した女性という
感じで素晴らしかったです。
今日のこの曲、"Small Blue Thing " 歌詞とメロディー、さらに歌声、
バックの控えめながら効果的なアレンジメントが光る、彼女の代表曲です。
歌詞を読んでから聴いてみてくださいね。(訳詞がお粗末ですいませんが)
Today I am 今日の私は
a small blue thing 小さな青いもの
Like a marble ビー玉
or an eye もしくは目の玉のような
With my knees ひざに
against my mouth ぴったりとくっついた口もと
I am 私は
perfectly round 完璧な球体
I am watching you あなたをじっと見ている
I am cold against your skin あなたの肌に触れるとひんやり冷たく
You are perfectly reflected あなたの姿をすべて映し出している
I am lost inside your pocket あなたのポケットの中で迷子になり
I am lost against your fingers あなたの指に触れられ消えてしまう
I am falling down the stairs 私は階段を転がり落ち
I am skipping on the sidewalk 歩道の上で跳ね返る
I am thrown against the sky 空にむけて投げられれば
I am raining down in pieces ぱらぱらと雨のように降り落ちる
I am scattering like light 私は光のように散っていく
Scattering like light ... 光のように散っていく…
詩人だなあ~。
Suzanne Vega "Small Blue Thing"
http://jp.youtube.com/watch?v=PBFG372HsW8