本日のサブテキスト; 「時代の転換点との遭遇」
時は78年、小学6年生。Kiss との出会いで洋楽に目覚めた僕。Kiss の
最新曲(「悪魔のドクターラブ」「ラブ・ガン」など)がチャートインするのを
楽しみにしながら「銀座Now!」(TBS)や「せんだみつおのオールジャパン
ポップス20?」(文化放送だったかな?)といったテレビ番組やラジオ放送
を欠かさずチェックするようになったのですが...
Kiss の全盛期は過ぎ去ろうとしていたのです。BCR(ベイ・シティー・
ローラーズ)さえも人気に陰りが見えはじめていた頃のお話。
で、その当時のチャートを席巻していたのは「ディスコ・サウンド」でした。
「ソウル・ドラキュラ」に「ジンギス・カン」とか「YMCA」。どの曲聴いても
「ドッチー・タッチー」(ドラム)「ドンペケ・ドンペケ」(ベース)のオンパレード。
しかも、ギターソロが無い!
音楽偏差値35(小6当時) ; キッス最高!「ギョイーン」という歪んだ
ギターの無い音楽なんて音楽じゃない。
決定打は「サタデー・ナイト・フィーバー」(ビージーズ)ですかね。あのPV、
いったい何回観たのだろう。のちのマイケル・ジャクソンの「スリラー」と
同じかそれ以上に洗脳された気がします。あ、もちろん「ディスコ最低!」
「ディスコでフィーバー!」ってなんぼのもんじゃい!というネガティブな
意味での刷り込みをされたのですが。
当時、例の「ディスコ・ビート」にビートルズの有名曲をのっけてメドレーに
したものが大ヒットしたり(元祖リッミクス?)、多くのロック・ミュージシャン
が「ディスコサウンド」に挑戦したものでした。
今、振り返ってみて許せるものはロッド・スチュワートの「アイム・セクシー」
とストーンズの「ミス・ユー」かなあ。この2曲は Kiss 命!のお子ちゃまな
僕にもなんか心に残るものがありました。なぜかなあ。ペンタトニック音階
満載のブルージーな感じだったからかな?
両者ともにブルーズ・ロックからサザン・ソウル、というように黒人音楽
リスペクト(=コンプレックス)な人たちだから、まあディスコに行く流れは
必然だったのでしょうね。
http://jp.youtube.com/watch?v=2YX_PKiYfDs
しかし、ロッドのこの曲、イントロが僕が敬愛してやまないBobby Womack
の"Put something down on it" のまんまパクリです。まあソウル・ファン
には有名なネタなんでしょうが。ベースはジェフ・ベックのバックも努めた
中国人系のフィル・チェン。BBAとかのハード・ロックあがりのカーマイン
・アピスのドラムも、ルックスを含めてなんか曲にフィットしてない感じが
またよろし。
http://jp.youtube.com/watch?v=qljSuSX1Na0
ストーンズの方は「ホット・スタッフ」からの流れもあるので、まだ自分たち
のものにしている感じがしますね。ビル・ワイマンのオクターブを生かした
ベースラインにも関わらず、全然ダンサブルじゃないのが素晴らしい。
彼らなりの新種のブルーズ・ミュージックになっているのが良いですねえ。
で、肝心のディスコ・ブームですが、やはりあんだけ流行ると排斥しようと
いう動きがアメリカの白人社会から生まれたようで(あ、今日のブログの
タイトル"Disco Sucks!"は「ディスコ最低!」という意味です)、79年には
ディスコのレコードを集めて爆破する!という「魔女狩り」を彷彿と
させるイベント(ディスコ撲滅デー)が行われていたのです。
その映像がこれだ! 1・2・3!
http://jp.youtube.com/watch?v=MpQfCcsqQ0E&feature=related
「ホワイトソックス球場での1試合目と2試合目の間に、地元のDJ
がディスコのレコードを爆破。観客がグラウンドに突入し、焚き火も
発生。警官隊が出動、数名の逮捕者が...」みたいな感じです。
YouTube のネイティブのコメントの中には「2009年にはヒップホップ
撲滅デーを開催するぜ!」などと新たなKKKの出現を感じさせるものも
あり、穏やかではありません。
エルビスが黒人アーティストまんまの「歌い方」に「腰つき」で登場した
時もそうでした。歴史的にも、メインストリームのホワイティーたちは常に
「自分たちと異なる他者」の存在を認めようしません。彼らの「無知」から
生まれた「恐怖」の対象は「悪」となり、それを排除する自分たちは「正義」
なのだ、というロジックで色んなことをしでかしてくれました...話が大きく
なりすぎましたね。
さて、「ディスコ・ブーム」はどれくらい続いたんですかね。80年ぐらいまで
かな?いずれにせよその終焉はかなりぐだぐだな感じだったような気が
します。
しまいには、なんと Kiss までもがディスコ風アレンジの曲をヒット
させてしまうのですから!チャートで生き残るためにはロック魂さえも売り
とばす、そんな大人の事情をうっすらと感じ取った小6の僕でした。
http://jp.youtube.com/watch?v=kNGNLo8K6Fk
サビがキャッチー過ぎて、2度聞くと嫌でも思わず口ずさんでしまう...
まさに悪魔のような音楽だ!って見た目も悪魔ですけど(ベースのお方)。
キッスとの出会いによって、その後、お約束のようにギター小僧になり、
時代遅れのハードロックにのめりこんでいく僕でしたが、さらに新たな
音楽の出現によってますます時代から取り残されていきます。
こんな感じの奴です。
http://jp.youtube.com/watch?v=sk6o4GWFIV8&feature=related
ギターの痕跡すらない!