シュヴェビッシェハーレは観光地としても有名である。然し出かけたことはない。バーデンヴュルテムベルク側のロマンティック街道としてもよいようなところだろう。そこへと同じアウトバーンの降り口から南北反対に同じような距離にあるのが今回出かけたヴュルト社の本社だった。そこのカルメンフォールムはオーナーの奥さんの名前を付けた美術館を含む文化施設で、そこに音楽会場がある。そこでは気が付かなかったのだが司会進行と挨拶をしていたのが彼女だと思う。そこで若干不躾な話しとなって、旦那もTVなどに出るのは好きなようだが、なんとなく昔の大阪丸ビルオーナーのドケチの吉本を思い起こさせる。

会場は550人弱の小規模な中ホールなので、指揮者が誰でも初のベルリナーフィルハーモニカー公演は行きたいと思った。幸い予定通りのペトレンコ指揮で、A席130ユーロはアムステルダムのものよりも遥かに価値があるだろう。然し想定したような絶好の音響でなかったのは仕方がないかもしれない。上手に定常波は避けられているのだが、バスがだぶつき気味になるのは舞台上での反射が強いからだろう。舞台上でも決して素直な音響が得られていないのだろうが、期待される前への音の張り出しも少なく、引っ込んでいて立体感も乏しい。とはいっても2000人のホールとは異なり、視覚とのずれも殆ど生じない。

その為今回の中編成までのモーツァルトのクラリネット協奏曲と田園交響曲で、より小さな協奏曲とアンコール曲はそこで演奏した価値があった。先ずはなによりもソリストのヴェンツェル・フックスの演奏が楽しみだった。

個人的には楽団の首席奏者としてもとっちゃん坊やのような吹き方でなによりも呼吸が外に大きく聞こえるので評価していなかった。然しここ暫くはその傾向が薄れて、嘗てオーストリアのスキー青年チームの感じよりも、いい音楽を聞かせて貰っていた。なるほどその傾向は今年に入ってからの復活祭その他で満足していた。

特にこうした小編成に近いところでのソロはどこまでいけるかという興味である。どうしてもカラヤン以降のコッホのオーボエとライスターのクラリネットのそれとの比較にもなる。然し一楽章からその会場の音響もあって、ソロが埋れてしまって、ペトレンコが留意する必要があった。そうなるとやはり音量が足りないということになる。その傾向はマーラーの九番でも感じていた。然し現在は同僚の若いオッテンザムマ―が退団したことから守らなければいけない立場になっていて、苦労が伺われた。一週間以上のツアーは体力的に厳しかったと思う。

既にシェフのキリル•ペトレンコのシーズンは終わった。フィルハーモニカーもあとは消化試合であろう。どのような奏者が日本でのオープンエアー公演まで乗って来るのかは知らないが、休む人は秋に備えて休んで仕舞うのだろう。フルートの空席もあって、オーボエを含めて木管の世代交代は迫っている。

報知されていたようなこともなかったのだが、楽団員のソロとしての演奏としては決して悪くはなかった。ペトレンコも上手につけていたとは思うが、やはりモーツァルト指揮者ではないと自らが語る様に、ここ一つのところで不満は残った。限られた準備の時間で、恥ずかしくはない伴奏はしていたのだが、有名ゲストソリストに合わせる時とはまた異なる方法での密な音楽としては、更なる演奏を期待していたのも事実だった。(続く)



参照:
支援企業での演奏会 2025-05-25 | 雑感
そのオーラをそっと出し 2024-12-17 | マスメディア批評