古新聞を片づけた。いつものようにざっと気になる記事に眼を通して束ねた。一つは四月初めのバイロイト音楽祭開催断念の翌日かの新聞である。バーゼルに居る新制作「指輪」の指揮者インキネンに電話インタヴューしている。既にザールブルッケンでの仕事、香港、東京での客演がキャンセルになっていて、時間をそっくり空けていたバイロイトがキャンセルになって茫然自失となっているが、練習が始まる前に発表になったのが何よりも良かったという。そして健康のためにキャンセルになってよかったとしている。

もう一つの記事はヴィーンの国立歌劇場の新支配人へのインタヴューだ。元ソニーミュージックのニューヨーク支配人だった人の様で劇場の藤四郎だ。商売上の背後関係での人選なのだろうが、語る話しの内容もそれ以上のものでは無い。要するに商業上のマネージャーでしかない。

それで新シーズンから数多くの新制作をリストアップしているかのように見えていても実はただの二つしか純粋の新制作は無い。他の多くは共同制作で舞台を独自に作るだけのもので、それらは権利を持っているので今後ともヴィーンのレパートリーとして上演される。その一つは「パルジファル」で新任音楽監督ジョルダンが振るがもう一つは三島の「午後の曳航」をおばさんが振る制作だ。その他にもコンセルトムジークスが2018年のザルツブルクの「ポッペア」で入ったり、二年目のシーズンはムジカエテルナがモンテヴェルディを継続する。一体どこの国立劇場かと思わせるが、要するに経費を削減しつつ、メディア制作して売れるものにしようという魂胆の様だ。

メディア戦略としてあまり誰も金を払って観ないストリーミングを今後はオーストリア放送協会の公的な資金を利用して、国内に無料で流していく様だ。それだけのいい制作ならば商品化して横流しできる。ドレスデンからヴィーンへと転職を試みたクリスティアン・ティーレマンがこれらの計画には役立たないで、フィリップ・ジョルダンなら商業的価値があるとしたのがこの人らの判断であろう。

興味を引いたのはメディアを使っての若者対策で、商業的な下心が無ければ面白いかもしれない。確かパナソニックかどこかのモニターが椅子についている劇場のようだが、あれを上手く使えば新たな劇場表現も可能になるかもしれない。

しかしどんなに頑張ってもこの程度の人たちが指導しているような劇場では本格的な音楽劇場上演などできる筈がない。昔はもう少し芸術程度が高いと感じていたのだが、更に程度が下がるようでもうどうしようもない観光劇場になりつつある。

期限が来たのでルツェルンに寄付・返金書状を出した。何がどうなるかは分からない。八月までには、まだ二月程ある。二か月前を考えると元へと戻る。だからまだ分からない。シュトッツガルトの劇場が音楽監督マイスター指揮でベートーヴェンのツィクルスを百人の聴衆に囲まれて演奏する。リーダーハレのベートーヴェンザールの平土間を使っての演奏だ。少しづつ可能性を広げて行くことで今後が変わってくる。



参照:
ハイレゾDLが可能ならば 2020-05-30 | マスメディア批評
首が座らないやつら 2019-04-28 | 雑感