前日に飲み干した2006年産辛口キャビネットは散々であった。去る九月に試飲して購入した時から、過熟成の独特な夏のお花畑のような蜂蜜の混ざったムレムレの素晴らしい芳香を発していて、収穫した葡萄自体が腐りかけそうだったのを十分に想像した。

それでも秋に二本目を開けた時点でも十分にフローラルな楽しみを味合わせてくれて、人間の女性なら香水の似合う淑女の魅力そのものであった。それが、三か月も経つか経たない内に完全に終っていたのである。

要するに酸も果実もあったものではなく殆ど苦味のような味だけが、お祭りのあとの散らかった路上のように散乱していたと言う有様であった。

こうなれば、今晩は2007年産のキャビネットが谷に入っていることでもあり何を開けるかと思案して、晩摘みのシュペートレーゼでも開けようかと思っていると、2005年産の昨夜と同じ醸造所のバイケンがまだ影にひっそりと二本残っているのが目に入った。

2005年のシュペートレーゼは、一般的にこれまた昨年の夏前から第二の山に入っていて、どれを開けても満足すべき熟成が始まっている。そこで、二本の内に一本を開ける。

流石に、昨日のキャビネットとは大違いに、酸も活きていて若々しさと瑞々しさがある。そしてなによりも体格が宜しい。

色艶にも漂う香りにも深さがあるのだ。それでも昨年感じなかったような、甘露飴風味などが出てきて若干老けた感じが強い。まだまだ飽きずに幾らでも杯を重ねることはできるが、山は過ぎたと見た。

丁度、至近距離で見つめていると肌の上に乗る白粉の分離が分かるような女性の感じである。それはそれで悪くはないのだが、こうなるとどうしてももう一つ上のグランクリュワインにあるような高貴さや清澄さや中身の充実を求めてしまう。

人間もワインも全く同じで、若いときはなんでも構わないが、老けると中身の差が甚だしく露出してしまうのである。殆ど恥ずかしいぐらいにである。


今日の一言:

辛口リースリングは遅くならない内に飲み干せ!

辛口リースリングは、出来る限り早い内に試飲して、何年保つか判断しろ!

辛口リースリングに恥じを掻かせるぐらいなら、初めからグローセス・ゲヴェックスを買え!



参照:
雪明りで繕いものをする 2009-02-13 | 生活
胃に沁みる夕べの祈り 2008-11-20 | 料理
いつの間にさくらに変身 2008-09-21 | 試飲百景
中庸に滴る高貴な雫 2008-09-03 | ワイン
ラインの穏やかな中庭 2006-09-11 | 試飲百景
地所の名前で真剣勝負 2006-02-06 | 試飲百景
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