フランツ・キュンストラー醸造所は、その品質からヴィクトリア女王の「ホック」を復活させるほどの人気で、高く評価されている。

ここのワインに関しては殆ど記憶がないのであるが、ホッホハイムの地所とは長い付き合いである。だから、地所ドムデヒャナイを中心にキルヘンシュテュック、ヘレなどに関しては自己のイメージが定着している。

先ずは、

「どの辺りを飲まれますか」と聞かれるので、

「辛口リースリングのキャビネットクラスあたり」という事で、

奥さんが奨めるのは春に印刷のリストには載っていない普通の辛口リースリングである。

モスト段階にてキュヴェーにて最高の地所から集めた混ぜ合わせということで、大変上手に作っている。初夏には瓶詰めされていたようだが、その沸きあがる香りは当方がホッホハイムのリースリングに期待するそのものである。

価格の8ユーロ50からして、グーツヴァインかと思えば、リッター瓶がそれに当たるということだ。しかしその価格7ユーロ60はがぶ飲みするには高価過ぎるので試さない。

さて、二つ目に奨められたのはへルンベルクで、これは独特の香りがあって、三つ目のヘレほどではないが個性は強い。

「なんですか、お宅は二種類の栓を使ってますが、片方は空気が入らない片方は入るで、熟成が違うんでしょうな」

「そうでしょうかね」と奥様。

「キルヘンシュトックなんかは馴染んでいるのだけど、この地所はどのへんですか?」

「東の端の方です」

「斜面の上?僕はヘレなど下のは重いから上の方が良いんですね、なんか、ミネラルの変な味がするね、あまり、ホッホハイマーリースリングのイメージと違いますね」

更にシュティールヴェークと呼ばれる古い葡萄のものを試す。

「西の町に入りがけの場所です、これはキュンストラーの好みのリースリングなんですよ」

「うん、ミネラルが、うん、なるほど」

このあたりになると独特の土壌からであろう強い香りにある種の重さを感じるようになって頂けない。

土壌キルヘンシュトックのものはキャビネットもシュペートレーゼも既に売り切れているので、エルステスゲヴェックスを試す。

これは、流石に酸は丸いものの中々優れている。やはり、ここの醸造所ではキルヘンシュテュックが良いのだろう。

ドムデヒャナイなど、その名声と共にホッホハイムの地所を買い漁って来ている醸造所であるが、一方ではそれほど肥大化していないでこじんまりとした家庭的な印象は思いのほか良い。

本格的に評価するためには、春に再びやってくる必要を感じて、ホッホハイムにだけ吹き上げるマイン河からの強風の中をそこをあとにする。