朝刊の第一面二段に安倍の惨敗が載っているが、その横にポーランドの双子が祖国を傷つけたとして社説に嘲笑されている。70歳以上の年配者にしか支持されていないのはどちらのことか?

ポーランドは、その国の成り立ちや現在においても何一つ日本とは共通点が無い。しかし西欧化のレヴェルと言う点では、政治経済文化の多くの分野で共通点を見つけることが出来る、同程度の東欧の国である。

全体主義の共産圏での反政府活動の経験が、この双子の原理原則の無さを責めることが出来なくしているとして、それは東欧圏の反政府活動の共通項であるとする。

「良心無き強権な独裁者の機構に立ち向かって来た者は、その立場になんら疑いも無く、自らの正当性を主張することが許される」と、彼らに共通な個性を定義している。

こうしたことから、この双子の秘密警察の設置や内政や外交に引き起こすどたばた劇が解説される。それでは、こうした個性を、開票後に逝去した元「べ平連」の小田実などに見ると言えば嘘になるだろう。なぜならば、あの不遜でふてぶてしい態度が幾らか似ているとは言っても、身の危険を呈して来た本当の活動家のようには見えないからである。年代も親子ほどに異なるが、少し前に逝去した筋金入りの共産主義者、宮本顕治とはその点でも違うように見えるがどうだろう。小田実は、むしろ現都知事と並べて置くと、その文章と共に、似つかわしい水準のような気がする。

むしろ、上で批判される双子の「時代錯誤」を、本日の紙面構成のように、安倍内閣に見る方が正しいかもしれない。新聞の経済面では、その経済政策を「改革」と唱えながら株式買収防衛策としての持ち株制度を復活させた批判などに、安倍内閣の強い「反動」が示唆されている。

そして何よりも、その巨大な議席数の力で、気が振れたとしか言いようの無い立法化した法案の数々こそが、時代錯誤を示して余りある。

しかし、そうした政権与党に対して、野党の政策も消費税などに拘っているとなると、選挙民へのご機嫌取りではないかとも見える。経済成長による自然増収が財源確保への前提であるのは何処の先進国も同じであり、その方法こそが問われている。

消費税は、欧米の例を見ればわかるように一方的にその課税率が上がるのみで、行き付く所まで上がるのであろう。しかし、それによって、社会保障や社会資本が充実して、蓄えることなく必要で堅実な消費を充分行っていく事が可能な都合の良い循環が起こるならば、それはさらに簡素化された税制の中で正しい直間税率バランスへの有意義な税収手段対策として納得出来るのである。

無駄の無い消費は自然環境への基礎理念でもあり、より良い生活環境への第一歩でもある。生活環境を整えるための社会資本への投資は、社会保障と同様に重要で、堅実な個人消費の大前提であると思うがどうだろう。そこからが、政治であり、経済の舵取りをしていかないといけない所なのである。

少なくともポーランドの片田舎の出稼ぎ労働者の自宅の生活の方が、東京の億ション暮らしよりも、豪華とは言えなくとも豊かであるように見えるのを不思議に思わなければいけない。ライフスタイルによらず、人の豊かな暮らしなどは、些細な喜びとその環境に左右される。パリの裏町で人は幸せと感じる時があるからこそ、グローバリズムによる生活環境の破壊に反対するのである。それは決してルノーの最高級車ベルサティに乗車してシャンゼリゼを滑走する時ではない。

泡立つ相場に憂いながら金の浴槽でシャンペンを飲むよりも、さっぱりと冷えたビールの泡を口角に涼み飲む方が美味いに決まっているのである。あくせく働くよりも、心配事無く休暇を過ごせる方が幸福である。豪華絢爛な庭園よりも小さくても瀟洒な庭を、そうした感覚が研ぎ澄まされる環境こそが「美しい国」ではなかったのか?

ポーランドの双子が他の芝居に忙しくて経済舞台に手を付けていないのは幸いだったとの揶揄は、安倍劇場にも向けられているようである。



参照:
"Schwere Niederlage für Abe", FAZ vom 30.7.07
"Polnischer Anachronismus" von Reinhard Veser, FAZ vom 30.7.07
保護観察下にある休耕地 [ マスメディア批評 ] / 2007-08-01
安全に保護される捕虜 [ 歴史・時事 ] / 2007-07-30
あとの政策への期待薄感 [ マスメディア批評 ] / 2007-07-29
襲い掛かる教養の欠落 [ 雑感 ] / 2007-07-27