2004 01/24 編集

アイスヴァインだとか糖比重の高い遅摘みの葡萄でなくとも甘口ワインに仕上げる事が出来る。甘い果汁を醸造後に足して「味を調える」方法をとらないまでも、限られた糖比重の中でアルコールへの発酵を押えてその甘みを維持するのである。こうして作られた甘口ワインは、口当たりがやわらかで飲みやすい反面、辛口への醸造に比べてアルコールが弱く、香りも弱い。風味良い甘口を作る事は難しい。更に食事の相伴としてのワインを考えると選択が限られる。日本や中国などの「甘み」や「甘い酸っぱい」食事や米の甘みが支配する食習慣のある地域において甘口ワインが好まれる傾向があるのはこの理由だ。

先日のモーゼル中流域の2002年ものは、前年度と違い酵母の香りに気が付く。ゾンネンライ、ゾンネンウーア、ヒンメルライヒ、ブラウネベルガーなど名だたる斜面に置いても辛口だけでなく甘口のワインの為の葡萄が育つ。ストレートに醸造して、ダイレクトに年毎の個性が出る辛口を避け毎年上質の甘口を送り出す醸造所もある。それらは、上に述べた食生活の違いからも国内ではあまり消費されていないようだ。更にワイン商にとり興味深いのは、上質の甘口は経年変化が少ない(新鮮なワインに長所がない)ので、フランスのネゴシアン達のようにヴィンテージものを扱う事によって利ざやを見込む事が出来る。この辺にも生産性の悪いワインに携わるモーゼルの人たちの知恵が見て取れる。