
結論から言えばフィルン*となっていた。色は金色へと近づき、蒸せた藁のような匂いとレモンに蜂蜜を乗せたように甘さに続き酸が、それからアルコールの苦味の後に再び糖が口蓋の奥に後を引く。決して不快でないのだが、以前の味を知っていて期待していたので差は大きい。瓶詰め当初は、酸もはちきれんばかりに強いアルコールに包まれていて、内容の豊富さと香りのまろやかさが、薔薇の花弁のようにお互いの要素を固く抱きあっていた。記憶するその印象からすると、糖の出方はもしかすると始めから孤立していたかもしれない。それが二三年すると蕾が開き、全ての要素がグラスの中で調和してきた。辛口ワインの醍醐味である香りは、一般的に三・四年が限度である。だが生産者によっては更に永く新鮮さが保たれる。よって辛口シュペートレーゼが六年で古くなっても呵責する者はいない。甘口や辛口アウスレーゼならば長寿の可能性が高い。一般的に98年ヴィンテージのリースリングは、未だ期待出来る物がある。
MUELLER-CATOIR
1998er Riesling trocken, Haardter Buergergarten Spaetlese
*フィルンとは、本来残雪のことを言う。寒いと硬くてシャーベット状で、温度が上がるとぐさぐさに腐る雪のことである。氷河に限らず雪渓でもあり得る。その状態をして古いワインに使うが、必ずしも否定的な表現ではなく、新鮮なワインに対するカテゴリーである。これが、30年以上古くなっても飲用に堪えるとなると、門外不出のワインとなる。辛口リースリングは、もともと糖価が低いので寿命が短い。