松岡正剛さんがお亡くなりになったとのこと、お悔やみ申し上げます。

彼の「千夜千冊」からは数多くの示唆を頂きましたし、以下の記事はとてもありがたいものでした。

 

マルセル・モース『贈与論』

 

最後、ちゃんと日本の話に持っていくところが、さすがですよね。

感謝しかありません。

 

また、私が編集委員の一人を務める翻訳叢書「宗教学名著選」(国書刊行会)のパンフレットに、松岡さんは以下の文章を寄せてくださいました。


「人類の営みと試みの原点へ」編集工学研究所所長 松岡正剛

 

 信仰と宗教と宗教学は少しずつ異なるものだが、その底流に流れている方向や質はほぼ同じものである。そこには今日のわれわれがいまなお懐中に抱く敬慶と畏怖と懊悩が息づいている。

 人類がダブル・ブレイン(両脳)とバイキャメラル・マインド(二分心)をもったとき、うっすらと「神」や「超越者」が想定された。以来、集住と生死と言語活動と自然恐怖が何百年にもわたって繰り返されるなか、原始文化・古代文化とともに揺藍期の宗教が組み上がっていったわけである。そこにはアニミズム、シャーマニズム、トーテム、イコン、タブーその他の、その後の確立宗教の構成因子の大半がひそんでいた。

 このシリーズは、そうした信仰と宗教の流れを原点にさかのぼって議論した宗教学の名著中の名著を厳選して提供する。人類の営みの最も重要な試みに分け入ったこれらの名著には、今日のわれわれが見忘れてはならない示唆が満載されている。


松岡さんの視野の広さ、射程の長さ、そして思考の深さ。
これまでも、これからも、憧れです。
ありがとうございました。
 

 

追記

好きな人しか関わっていないMV

 

椎名林檎 - JL005便で ~Flight JL005~ (B747-246 Mix by Yoshinori Sunahara) / 砂原良徳

SAYA(ELEVENPLAY)(出演)、椎名林檎(歌・曲)、砂原良徳(Mix)、児玉裕一(映像)


これを観るたびに飛行機に乗りたくなるのだけれど、このところ連続して「トラブル」に遭遇している。

何事もなく長期滞在を終えて「よい日々だったな」と感慨にふけっていたところ、空港ストライキのため帰国便が無くなり二晩延泊。方々に迷惑をかけることに…これが前々回。

日本出発二日前、空港ストライキのためまたしてもフライトキャンセル(それでも航空会社の対応は素晴らしいものでした。さすが!)…これが前回。

余談だけど、前回は帰りの乗り継ぎも印象深かった。どのゲートも空いていないとのことで、乗っていた便の扉が開いたのは日本行きの搭乗時刻15分前。扉の外で待っていてくれたグランドスタッフ(僕より背が高いドイツ人女性)と、出発ゲートまで一緒に向かうことになった。

フランクフルト空港でEU内のフライトから日本行きに乗り継ぐ時は、長い長い通路を移動しなければならないのだけれど、その日はなんと「動く歩道」が故障中。そのため、彼女とお話する時間がたっぷりあった(僕が「走ろう!」と誘ったら「いや、間に合う」とのこと。)


そこで、上に書いたことを伝えて「ドイツの空港はいったいどうなってるの?」と話をふってみると、彼女は急に興奮して「そうなのよ、まったく。ひどい話なの、聞いてよ」という感じで、コロナ禍明けのドイツの航空業界の惨状を教えてくれた。ここには書けない話もあった。まあ、ストしかないよなと僕は妙に納得したのだけれど、面白いことに彼女はストに否定的だった。

年齢が近いせいか話が盛り上がり、同じく空港で働いている彼女の娘の話まで出てきて、実に愉しい移動であった(搭乗は既に始まっていたけど、出発時刻は変更なし。良かった。)


彼女の最後の言葉、「あなたは今度いつここに戻ってくるの?」

(日本語にするとドキッとするけど、ただの挨拶)
いつか再会できるといいな。