ペットへの配慮の欠如 [編集 ]
日本で起きているペットの安易な大量殺処分 [編集 ]
ヨーロッパでは、ペットを極力殺さないようにする配慮が行き届いている国が多数ある。例えば、ドイツ では殺処分は行われていない[12] [13] 。またイギリスでも、収容された犬・猫の8~9割程度は、里親募集などの制度により新たな飼い主を見つけることができている。イギリスでは動物愛護 の精神が人々に根付いており、多くの人々が、犬や猫を飼いたい時は、いきなりペットショップで選んだりはせず、まず最初に(失われそうな命を救うために)施設に保護されているペットたちの里親 (新しい飼い主)募集の情報を探し、そこから選ぶように努めている[14] [15] 。DOG TRUSTなどの動物愛護団体 が活発に活動しており、たとえ難点があろうとも、殺処分は行わず、新しい飼い主が現れるまで、一生涯飼い続ける[16] 。
ところが日本では、ペットの保護の制度が十分に整備されておらず、また市民の意識も足らず、非常に多くのペットの命がみすみす失われてしまう状態が非常に長い年月に渡り放置された。保健所 が街でうろついている犬などを日々捕獲・収容したり(野良犬などの他に、たまたま迷子になってしまったペットも含む)、飼い主から直接持ち込まれた動物を収容し、しっかりと里親募集も行わず、わずか数日の保護日数を経るだけで、新しい飼い主を捜す努力も十分にされないまま殺してしまっている(殺してしまうことを「殺処分」と呼んでいる)。その数、実に毎年45万匹にも及ぶ。
日本では、ペットが欲しいという人々がいるにもかかわらず、そういう人々が施設のペットと出会うことを促す環境は十分に整えられていない。保護された動物たちの情報がしっかりと公開・告知され、ペットを求める人々との出会いさえあれば救われたはずの命が救われずみすみす失われてゆく、という悲惨な状況が長きに渡って放置された。
動物の収容と殺処分を行っている全国の保健所 の対応は概して鈍かった。保健所 の実態は単純ではなく、施設としては、(一応)各自治体に属していることになっているが、そこで勤務する職員は厚生労働省 と深い関連があり、厚生労働省の影響を受けている。動物愛護団体の人間たちが、保健所の職員に、殺処分率を下げるために手を打つことを要請しても、概して、”木で鼻をくくったような”対応をするばかりで、出来る改善すら一向にしようともしなかった、としばしば言われている。
日本において殺処分率が非常に高い問題についてはなかなか広くは認知されていなかった。が、近年になりようやく、イギリスやドイツで行われている対応が日本でも知られるようになり、日本での状態は問題だとして日本のマスメディア でも報道されることも次第に多くなり、一般の日本人にもようやくそれが問題だと認識されることが増えてきた。
保健所の対応は全国的には鈍かったが、やがて中には対策を打ち出す施設もわずかではあったが現れるようになった。例えば、熊本市動物愛護センターは、動物愛護の目的のために、あえて”嫌われる行政”になることも辞さず、ペットを施設に持ち込みペット放棄しようとする飼い主に対し翻意を促すための説得を行い、市民団体や獣医師会 と連携しつつ、より多くの人々を巻き込んで(施設に入れられたペットの)譲渡会を開催したり、収容された犬の情報をウェブサイト上で積極的に公開するなどの取り組みを行った。例えばウェブサイトでは、里親を募集している犬や猫たちの写真を閲覧可能にした[17] [18] 。それらの方法の効果により、2002年度の段階では56.38%であった処分率を、2008年度には12.86%にまで引き下げることに成功した[19] 。(つまり収容された動物の56%までが殺されてしまっていた悲惨な状態を、12%まで引き下げた。イギリス並みに下げることに成功した、ということ。)こうした成功事例が知られるようになり、「(日本であっても)熊本のようにやる気になりさえすればペットの命が救えるのに、なぜ他の自治体では同様のことをやろうともせず問題を放置するのか?」という声が出るようになった。
やがて、日本の中央行政もその重い腰をようやく動かすようになった。環境省 は、2009年度より、犬や猫の殺処分の半減を目標に、新しい飼い主探しを促進するための施設を、都道府県(や政令市に)、年間約10 カ所整備する計画を、また2017年までに90 カ所整備する計画を立て、それに着手した。9年間で、殺処分の数の半減を目指すという。新しい飼い主探しを促進するための施設整備などを行うという。また、ペットの不妊手術 の推進や、(ペットが迷子になってしまった時に飼い主のもとに戻ることができるように)マイクロチップ 装着なども推進するという[20] 。
全国の動物愛護センターなどでは、犬や猫の新しい飼い主を募集している[3] 。
無理な繁殖や近親交配 [編集 ]
珍しい種類や人気がある種類の犬・猫では、ブリーダー が近親交配 による繁殖を行うといったケースも報告されている。それらの中には近親交配によって発生した、畸形 や遺伝的 な異常を持つ個体が販売され、飼い主とペットショップで品質面が問題となって係争されるなどの現象も起こっており、これを憂う向きもある。しかしながら、近親交配は品種改良や品種のスタンダード維持の重要な手段でもあり、一律な禁止は大きな弊害を伴うとされる。
闇取引 [編集 ]
珍しい動物を飼いたいという人がおり、この中には密猟 によって捕獲された動物が安易に密売買されるケースも少なくない。野生のオランウータン はワシントン条約 で商取引が禁じられているが、これすら売買していた事例もある。
幼い内に親から引き離されペットとして違法に飼われていた個体が再び森 に帰れるよう、リハビリ を行っている団体もあるが、本来はオランウータンの生態を研究するために生息域に滞在している研究者のところにこれら個体が持ち込まれ、研究者らが自然環境への復帰作業に動員されてしまい、研究が滞ってしまうケースもあるという。
また動物園などから珍しい動物が盗難に遭うなどの事件も発生しており、盗んだはいいが飼い方が判らず(情報も無いため)死なせてしまうといった事件も起きている。日本においては2003年 にレッサーパンダ などが盗まれ売買された事件も発生している(3ヵ月後に発見され戻された)。
ペットの健康問題 [編集 ]
ペットを、ただの玩具のように考える飼い主も後を絶たず、命ある存在として、その性質に即した飼い方が成されていないケースも少なくはない。例えば肉食性の動物に、菜食主義 者の飼い主が野菜 を主体とした餌を与えて、適切な消化酵素 を持たないこれら肉食のペットが健康被害を受けるケースも見られる。 中には、偏食 となるエサを与えてしまう飼い主がおり、結果として糖尿病 などの成人病的症状で動物病院に通院するペットがいる。よく懐いている犬の場合、飼い主が与えた餌を食べると飼い主が喜ぶことを犬が理解して、満腹であっても飼い主を喜ばせようと餌を食べる場合が見られる。これらの犬は肥満 に陥ったり、肥満が引き起こす健康被害を受けることもあるとされる。
また、過度に愛玩された結果として神経性の円形脱毛症 や胃潰瘍 に陥るペットもいる。悲惨な例では、飼い主が自分のストレス 解消や鬱憤晴らしに行う動物虐待 の被害を蒙るケースまである。
野生化 [編集 ]
ペットを物品のように扱い、「飽きたから捨てる」という考え方をする者の存在により、飼い主がこれら動物を野に放ち帰化動物 を作り出してしまうという問題も、世界各地で発生している。アメリカ では、1960年代 に二重純血犬種 のペットブームがあったが、やがてそのブームが去ると二重純血犬種の犬が各地で捨てられ、捨て犬が急増して大問題となった。
日本では1977年 に放映されたアニメーション テレビ番組「あらいぐまラスカル 」の影響でアライグマ を飼う家庭が出たが、本来非常に気性の荒いこの動物は飼育は難しく、飼育できず処分にも困った飼い主が、結局捨ててしまうケースも発生。一部地域では野生化したアライグマがゴミや農作物を食い荒らすなどの被害も発生している。
東京都 には野生化したワカケホンセイインコ が大量に住み着くなどの現象も確認され、温排水が流れ込む用水路でワニ が、路上でカミツキガメ が保護されたとするニュースが度々聞かれるなど、芳しくない現象が発生している。
周囲の人々に対する配慮の欠如 [編集 ]
ペットの飼い主は、周囲の人々への配慮も求められている。
近年、店舗 や公共交通機関 にペットキャリーにすら入れずにペットを連れ込む飼い主が多く存在する(特に犬が多い)。[要出典 ]更にキャリーに入れたとはいえ、公共交通機関で手回り品切符 の購入をしていない事も多い。この様な事例は、周りの人が不快に思ったり、特に小さい子供などが動物を怖がることがあるばかりでなく、動物アレルギー の人にとっては健康にもかかわる。「ペット同伴禁止」と明示されている場所にはペットを連れ込まない、ということは飼い主が守るべき当然のマナーであるとされている。さらに、特に表示が無くても、(よほどペットのための施設でない限り)不特定多数が出入りする施設や店舗など公共の場では、必要に応じてケージ等に入れ、他の人がいる場でペットが自由に動き回ることのないようにするのが飼育者に求められているマナーである。
ペットが周囲の人に与える被害が民事 ・刑事 の裁判沙汰になる例もある[21] 。[22] なお、軽犯罪法 では、犬などを嗾(けしか)けるなどして他者に危害を与えた場合などは当然罰せられる。現行法的には、ペットはあくまでも飼い主が所有し管理する対象であるため、飼い主には、これに起因する損害・損失に対する補償 するなどの責任 も発生するわけである。また、人間に危害を加える虞のある鳥獣を逃がしたりすることも罰則対象である。
伝染病など [編集 ]
これの被害者は飼い主自身であったり、周囲の人々であったりする。
近年では、輸送技術の発達に伴い、様々な動物(特に野生動物)がペットとして供されるが、この中には伝染病 の病原体 を持つ動物が含まれることもある。又、動物の持つ寄生虫 の影響も懸念されている。2000年代 には、日本においてはほぼ根絶されたと思われていた狂犬病 が、輸入ペットの中から見つかり大きな問題となっている。南米では、近年人気のあるハムスター から、狂犬病ウイルスが発見されたというニュースが報じられたことがある(幸い、日本では輸入されていない)。また、やたら噛み付くなどといった危険な習性を持つ爬虫類などが飼い主に危害を与えてしまうこともある。