【モカせんぱい】
目の見えないモカせんぱいは目を開けて寝る。
我が家に来たときから、まったく見えないので、モカはわたしの顔を知らない。
そう思うと、ほんのちょっとだけさみしい気持ちになってしまうけれど、それはこっちの都合で、モカせんぱいはそんなことぜんぜん気にしていない。
声帯も切られているのだけど、やっぱりモカせんぱいはそんなことぜんぜん気にしていなくて、かすれた声でおっきな声で鳴く。
わたしが眠ってるときに、ときどきモカが自分でドアを開けて廊下に出て、自分でドアを閉めちゃって部屋に戻れなくなったりしたときは、まったく吠えてくれないのに、わたしがパンやたい焼きを食べてるときは、めっちゃデカイ声で鳴く。
ピンチのときに鳴いて知らせてくれないと。
目がまったく見えないのに、どっしりと、たくましくって、たのもしいので、モカせんぱいと呼んでいる。