バルセロナには、驚くほどたくさんの日本人が住んでいます。

私が知り合いになるのは、主に同じぐらいの年齢の子どもがいる人たち。

 

駐在の方とはあまり知り合う機会がなく、旦那さん・パートナーがこっちの人なので永住する予定の永住組、あるいは、ずっといるかはわからないけど、今のところは引っ越す予定はない半永住組(うちもですね)がほとんどです。

 

今日は、こっちに引っ越してきてから知り合ったいろんなカップルを見ていて、なんとな〜く感じた印象について書こうと思います。

ただ、これはあくまでも個人的な印象・考察であることと、そして、そこに甲乙などをつけるつもりは微塵もないことを強調しておきます!No judgmentラブラブ

 

さて、永住組半永住組のカップルを分類してみると、まず、

ベル最初からスペインで知り合った

ベルスペイン外で知り合った

の2つに分けられます。

 

ベルスペイン外で知り合ったカップルはさらに、

指輪日本人&非スペイン人で、途中からスペインに引っ越してきた
指輪日本人&スペイン人で、途中からスペインに引っ越してきた

に分けられます。

 

どこで知り合ったかがどうして大事なのはてなマークって思うかもしれませんが、これが意外に大きな影響を及ぼしているのではないかと思うようになりました。

なににか、というと、夫婦間のダイナミクスにです。

 

ダイナミクス…英語でrelational dynamicsというと、その意味するところは、互いとの関わり方のパターンです。

いくつかウェブサイトを見ると、次のような定義が見られます。

 

ーRelationship dynamic meaning can be described as the consistent patterns of interaction that occur between a couple.

(...カップルの間に見られる一貫した交流のパターン)

Relationship dynamics are the patterns of behavior between two people that impact how they interact, communicate, and relate.(...二人の人間がどのように関わり合い、コミュニケーションをとり、関係していくかに影響を与える行動パターン)

Relationship dynamics are a series of behaviors that people display during interactions, communication, and how they react to various topics.(…他人との交流やコミュニケーションの際に示す一連の行動また、様々なトピックに対して示す反応)

 

こういうパターンは、普段の生活の中でも常に変動しています。

ストレスが溜まっているとき、実家にいるとき、産休中、病気のとき、浮気が疑われるとき…

相手に優しくなれたり、邪険に扱ってしまったり、むかついたり、優越感を覚えたり、よくよく見ると、状況ごとにそういうパターンがあるはずです。それが、ダイナミクス

 

それに国境を超える引っ越しなどが絡むとどうなるか。マクロ視点でなんとなく観察してみると(*繰り返しますが、あくまでも個人的な、甲乙つける気ゼロの感想です)、ベル最初からスペインで知り合ったカップルの場合、つまり、国境を超える引っ越しがない場合、マクロレベルのダイナミクスがある程度一定のまま保たれる気がします。

というのは、スペインに住んでいた日本人は、すでにスペイン語ができる可能性が高い。地元の知り合いもいる場合が多い。そもそもスペインが好きで来ている場合も多いし、生活の基盤がそれなりにできているわけです。

こんなに義家族がうざいと思わなかった爆弾とかいう変化はもちろんありますが、それはどこの国でも同じですよねキョロキョロ

 

じゃあ、ベルスペイン外で知り合ったカップルの場合ははてなマーク
 
まず、指輪日本人&非スペイン人で、途中からスペインに引っ越してきたカップル。
うちのパターンがこれですね。日本人&フランス人で、アメリカからスペインに引っ越してきた。
こういう例はちょくちょくあります。イタリアに住んでいた日本人&イギリス人のカップルとか。
 
もちろん場合によりけりですが、この場合は当然ダイナミクスが変わるものの、妙な連帯感が生まれることがあるように思います。
特にお互いスペイン語ができず、スペインに馴染みがない場合はそう。
共にがんばろうね、この国なんかいろいろうざいね、みたいに、仲間意識が生まれるような笑い泣き
 
相手が他の国出身のスペイン語話者の場合は、言語に対するコンプレックスが夫婦間で異なるので、また違いますけどね〜でも、いろんなパターンがありすぎて、それを上げていったらキリがない。あくまで、なんとなくの印象です。
 

それで、外から見ていて、おお、なんか大変そうだぞ汗と感じてしまうのが、

ベルスペイン外で知り合って、指輪途中からスペインに引っ越してきた、日本人&スペイン人カップル。

 

だって、ダイナミクスが180℃変わっちゃいますからあせる

 

日本にいたなら当然、例えば英語圏の別の国にいたとしても、これまで仕事をしていた、手続き関連の色々な書類のことは自分でやっていた、子どもがいるなら、子ども関連の行事にも自分が出ていた…という状況が、突然、

(多くの場合)言葉もあまりわからず、文化も全然違う、そもそもここに来たかったわけでもあまりないかも、という状況に陥るわけです。

 

それだけなら日本人&非スペイン人ともあまり変わらないのでしょうが、ここで決定的に違うのは、相手

相手はスペイン人ですから、ホームグラウンドに帰ってきたようなものです。慣れ親しんだ土地。家族。慣習。

日本人&非スペイン人の間に生まれがちな「共にがんばろうね、この国なんかいろいろうざいね」という連帯感が、そもそも生まれない。そして、日本人側が感じてしまうフラストレーションが、どうにもスペイン人側に伝わらなかったり雨

 

こういうもんだよ、とか、家族がいるからいいよね、とか、すぐに慣れるよ、とか、あちらは善意で言っているのに、これまでの状況と違いすぎて、日本人側はダイナミクスの変化について行けなくなってしまう。

スペイン人側としては、なだめてみたり同情してみたり励ましてみたりするわけですが、自分にとってはあまりに馴染みのある状況なので、相手が順応するのに時間がかかっていると、結構な速さでフラストレーションを覚えてしまったり。

でも日本人側は、以前は別の国でバリバリ普通に生活していたわけですから、そもそも(ある意味)対等だった相手になだめられたり同情されたり励まされたり、というダイナミクス自体がありえない。

 

ものすごく夫婦の絆、そして自分自身の強さを試される状況だなぁ〜〜って…これを乗り越えてきた(そして今乗り越えている)人たち、本当にすごいです!

 

なんか長くなっちゃったけど、もう1つだけ思ってたことをさらっと書くと、

喪失の受容というプロセスがあって、心理学では有名だと思うのですが、自分自身の死、あるいは親しい誰かの死に直面して、受け入れていくまでの過程を5段階に分けたものがあります。

でもこの過程、「死」以外のロス…大好きだった仕事、長く住んでいた家、言語の問題なく暮らしていた毎日、そういった、自分にとって大切な何かを失った状態なら、基本的に当てはまるのです。

 

①否認と孤立(denial & isolation)信じられない、なんでこの国にいるの?戻りたい…なのにあっちはなんか楽しそう…私ひとりぼっちだ…
②怒り(anger)私がこんなに苦労してるのに、なんでわかってくれないの?なんでこのシステムを変だと思わないの?なんで私ももっと反対しなかったの?!etc.

 

③取り引き(bargaining)私が他の国で仕事を見つけたら出られるかもしれない。このままスペイン語を勉強しなかったら逃れられるかもしれない。子供の教育にこの国はよくないと証明できたら… etc.

 

④抑うつ(depression)とにかく憂鬱。もうここにいるしかないんだ。あの暮らしは戻ってこないんだ。
⑤受容(acceptance)…そして、第6段階として「意義を見出す(Find meaning)」も提唱されています。
 
ちなみにこのプロセスは、多かれ少なかれ大体このような感じで乗り越えていく、というもので、きっちり1つ1つが分かれているわけではないし、各段階にかかる時間も一人ひとり違います。
 
最後の「意義を見出す」を第6段階として提唱したケスラーのポッドキャストを聞いていたときに、子どもを亡くした親の離婚率が高いのは、喪失のせいというよりも、むしろ(悲しみ方は一人ひとり違うのに)相手がどのように悲しむべきかという思惑が外れたことによる部分が大きい、という発言を聞いて、なるほど!!とひっくり返るほどの衝撃を受けました。
これって、国が変わったときも同じかもしれませんね…自分と同じようなロスを、相手にも感じてほしい、という思惑から生じる新たなダイナミクス
 
自分自身も、子どもも、パートナーも、ロスを感じている辛い時期は、これもプロセスの一部なんだなって理解して、ダイナミクスをコントロールしていけたらいいですよね。なんか話が広がりすぎましたあせる