あれは確か2020年の年末、
「コロンブスゆかりの修道院がバルセロナ郊外にある」という話を小耳に挟みました。
こういう裏観光的な話が大好きな私なので、すぐに調べると、
バルセロナのベッドタウンバダロナにあるみたい。
Sant Jeroni de la Murtra修道院。
聖ジェロニモ修道院。Murtraというのは、中庭に植わっている木の名前です。英語だとMyrtle、日本語だとギンバイカ。
気になっていたので、翌年の春に、家族でガイド付きツアーに参加してきました
山の上にあります。周りはハイキングコースで、週末は人がいっぱい。
コロンブス云々の話ですが、1492年に、バルセロナの真ん中で王暗殺未遂事件が起こります。
フェルナンド2世が療養も兼ねて、その後しばらく滞在していたのがこちらの修道院。
アメリカを「発見」して戻ってきたコロンブスの報告を聞くために、彼を修道院に招きます。
(バルセロナの王の広場で謁見した、と言われていますが、王の広場は暗殺未遂の現場であって、実際に謁見したのは修道院というのが正しいようです。)
そんな歴史的な修道院で、ツアーも面白かったのですが、私の耳がピーーーーーーンと反応したのは、ガイドさんのこの一言。
「ここには泊まることもできます。アーティストや小説家や、静かに集中したい人たちなんかが利用していますよ。」
歴史ある修道院で…静かに…一人きりで……泊まりたいっそうだ、誕生日に
疲れてたんだと思います
数ヶ月前に引っ越して、家のことも色々あって、子どものスケジュールも忙しくて、でもまだまだコロナで…
誕生日まで1ヶ月を切っていたけれど、すぐに連絡すると快い返事。
誕生日の前日に、本を詰め込んだスーツケースを抱えて到着しました。
とにかく、本が読みたかった。
日頃から読んでるんですけどね。なんとか、時間の合間を縫って。
でも、そうなると細切れだから、わりと軽い本に限られる。
じっくり向き合いたい本、調べものが必要な本なんかは、読めない…
そういうまとまった時間が欲しい
あと、デジタルデトックスも兼ねたかったので、着くなり携帯を切りました
静かな平日の修道院。
部屋は、小さいけどとてもこぎれい。
眺めのいい、小さなベランダが愛おしい
バス・トイレつき。
キッチンは共同…だけど宿泊客は私一人。
どこまでも静か。観光客やボランティアの人が帰ると、後は15分おきの鐘の音、風の音、そして鳥の声しか聞こえません。
ここで、読んで、読んで、少し食べて、読んで、書いて、散歩して、また読んで…
あ、ちなみに「修道院」と言っていますが、正確には修道院跡です。
ここも、マヨルカの記事の中で触れた永代所有財産解放令(デサモルティサシオン)の犠牲となっていて、修道士たちは全員追い出されています。(というか、ここは群衆がやってきて、中を荒らして略奪してから火をつけたとか…だから今も屋根のない部分が、上の写真みたいにそのまま残っています)
ここ、実は今年の誕生日にも戻ってきました
面白い体験だったので、今度はモンセラートにある別の修道院に泊まろうかなとも思って連絡してみましたが、なんか予約が取りにくかったり、もっと堅苦しい感じで気乗りがせず。
こっちはメールすると、「覚えてますよまたお迎えできるのを楽しみにしています」みたいな素敵な返事が来たので、あ、やっぱりこっちでよかったと。
今年も迎えてくれたこの眺め。
友達に、誕生日は一人で修道院、というと、「えーーーーホテルでスパとかにしたら」と言われ(よく考えたら至極まっとうな反応ですね)、それもありかなぁ、と思いましたが、でも、やっぱりこういうのって私らしくていいな、って思ったり。
2年目になると、ちょびっと「オラが修道院」的な気持ちも芽生えちゃったりして
最後に、今年笑っちゃったこと。
持っていった本。
全く意図せず、色んな理由があって選んだんだけど、ちゃんと6ヶ国語揃ってた〜
私らしさ炸裂、というよりありません。今年も幸せな24時間でした💖