2年ぶりの日本
こっちに着いてもう2週間が経ちました。なんだかあっという間です。
上二人が学校に行っているとはいえ、下のアルルは家を荒らしまわっているし(笑)、みんな次々に体調を崩したし、仕事、いろんな手続きもろもろで、全くのんびりしている気がしません
今週になってようやく少し落ち着いてきた感がありますが、来週の火曜日にはもうマルの体験入学が終わってしまう…。
さて、子どもたちの日本語、また必死に読みあさっている本について、いつものように書いていこうと思うのですが、でも先日とても奇妙な体験をしてしまったので、そっちを先に書くことにします
時差と慣れない日本での生活、そしてガンガン外で遊ばせるこっちの学校生活にショックを受け、上二人はあっという間に体調を崩しました。それにつられて(?)アルルも不調。あんなに穏やかな子だったのに、泣き喚いたりぐずったり…こんなの普通じゃない
それに加えて左耳をやたら触るので、ひょっとして中耳炎だったら困ると医者に連れて行くこ
とにしました。基本的に元気だし、熱もないし、違うんじゃないかと思ったのだけど、でも念の為に。
ところが、タイミング悪く、やっぱり行こうと思い立ったのが土曜日の昼下がり。
街中の小児科は閉まっていますうーーーーーむ。
まあもういっかー、とも思ったのですが、近くの村に1件だけ開いているお医者さんを見つけたので、父が電話してくれました。
これこれこういうわけで中耳炎が心配なのですが…と電話すると、診るので来て下さい、とのこと。
住所を見た父、「こんなところに医者なんってあったっけ?」
行ってみると、なんだか素敵な洋館。お庭には花が咲き乱れています。
聞いてみると、最近オープン(?)したところだとか。パンフレットを見ると、主治医はなんともまあ輝かしい経歴の持ち主。なぜこんな小さな村にと疑ってしまうほど。
…なのですが。
やっと名前を呼ばれて診察室に入ってみると…
なんというか…かーなーりーお年を召していらっしゃる手も心なしか震えているような…
もう一度来院理由を聞かれて説明。はぁはぁと聞いた後に、ピカッピカッと眩しい光をアルルの耳に当てます。
そして…
「ただの風邪ならそのうち治るんですけどねぇ。」
「(いやいや、それはわかってるんですけど)でも、中耳炎の方はどうですか?」
「ああ、それは、小児科か耳鼻咽喉科の方しかわからないですよ」
…なんだそれー
私は最初に電話した時からしつこく、中耳炎かどうかが心配で…と言ってたんですけど。
それが診られないなら、なんで最初からそう言わないのー
しかも、ピカッピカッと耳に当ててた光はなんだったの
は、そういえば、「ただの風邪なら…」と言ったものの、アルルの口の中さえチェックしなかったんですけど
診る気ゼロとしか思えません。
後ろにいる中年の白衣の女性(アシスタント?)が、「耳だけでも診てあげたら…」と言ったけれど、「いやいやそれはね…」とおじいちゃん、聞く気なし。
結局隣町(遠い)の大きな病院に紹介状を書いてくれました。
そんな、救急に行くつもりは全くなかったんですけど…
っていうか、その大きな病院との関係を示す立派な紙が入口近くに貼ってありました。ひょっとしてこの医者、基本的に患者はその病院に紹介状渡して送り込んでると思わず疑ってしまったり。
話は更にヘンテコになります。
紹介状を待っている間、先ほどの白衣の女性が「ごめんなさいねぇ。耳のお医者さんも置かなくちゃねぇ」とやって来ました。そして、「そうだ、ヒヨコさんあげよう」と言い、受付近くのドアを開けて、別の部屋へ。
ドアが開け放たれていたので中を見ると、だだっ広い洋間。シャンデリアが下がり、雑多に陶器や荷物が置かれ、暖炉の近くにグランドピアノが置いてあります。
…なんなの、この空間…。
白衣の女性はヒヨコのぬいぐるみをアルルにくれ、その後また思案していましたが、いきなり「そうだ、イソジン使います」
私があっけに取られていると、また別の部屋から、うがい薬のイソジンを持ってきました。
「これ、うちで使ってたものなんですけど、もう使わないので…せっかく来てもらったのに申し訳ないから…こういうのってでもいいのかしら…えーと、おまかせします」と受付のお姉さんに言い放ち、イソジンを置いていきました。
「うちで使ってたもの」…って、まさか使いかけまさかね…っていうか、なぜイソジン
受付の女性も苦笑し、「えーと、じゃあ、病院とは関係ないということで…よろしかったら。」とイソジンを私に差し出しました。
気の強い人ならこういうところで「いりません」と言うのだろうけど、私はそういうところで強く出るタイプではないし、なんとなく好奇心も勝って(使う気はゼロだったけど)、とりあえずもらってきました。
そして、狐につつまれたような気持ちで瀟洒な洋館を出ました。
イソジン…どう見ても使いかけです。普通にありえない。
そして、まさかのまさかで使用期限を見てみると…
やっぱり切れてる
もう、なんなんだ、この医院はーー
家に戻ってから検索してみると、中年の白衣の女性はアシスタントではなく、おじいちゃん主治医の奥さんだということが判明しました…しかも、医療関係者ではなく、音楽家らしい。
その人のブログには何度か、そのおじいさんがいかに高齢か、ということに関する記述が出てきます。
…そんなに高齢な医者が開いたばかりの医院…
まぁ内科医が中耳炎を診ないのは普通だと何人かに言われたので、それはよしとして、また、彼の医者としての腕を疑うだけの懸念材料は揃っていないのでそれに関してもコメントしませんが、でも、総合的に見て、
ヒジョーーーーに奇妙な体験でした。
もう多分あそこに行くことはないと思う。