最近、同じクラスの二宮ミサと下校している。
ミサは僕と違って成績優秀。おまけにスポーツ万能である。
それでも、ミサには勝気さはなくおしゃれに関心があるようだ。
髪から桃のような香りがする。
そんな二宮ミサが僕を誘った。
僕は最初戸惑ったが「いいよ」と言った。
今思えば、僕の方が偉そうだ。
会話の仕方がわからず「いいよ」と言うしかできなかった。
ミサはお喋り好きである。
家族のこと、友達のこと、芸能人のこと…。
多彩な会話が心地よい。
ミサは言葉選びに気をつけているようで賢さが感じられる。
僕はそれが楽でしょうがなかった。
僕は聞いてるだけでいいのだから。
「最近、ブルーベリージャムを作ったの」
「へー、すごいな」
「ちょっとお砂糖入れすぎたけど…でもクリームチーズとよく合うのよ」
「へぇー、なんだかおしゃれだな」
「そんなことないよ。ブルーベリーは目にもいい食べ物だから…」
ミサは鞄から瓶を取り出した。
瓶にはシールが貼っていて「ブルーベリー」と書かれている。
「あげる」
「あ、ありがとう…」
「自信ないけれど」
「いや、おいしそうだ。食パンにつけて食べるよ」
ミサは穏やかな笑みを浮かべていた。
同い年だが、母親のようにも見える。
ミサは単にいい子に見せたいだけなのだろうか。
それとも僕に気があるのだろうか。
普段、教室では会話はない。
ミサは教室をコロコロ変え、いろんな人とお喋りをしているようだ。
そして教室でひとりぼっちの僕とこうして下校している。
あまりにも価値観が違いすぎてミサの気持ちがいまいちわからなかった。