今日は。
長い夏休みが終わり、9月に入りました。
学生さんの通学が始まり、電車は、コロナ禍前の状況のような気がします。
さて、「生活を変えたCM③」の外伝の3回目は、2回目のそろばんに続き「計算尺」です。
<計算尺が使われた映画
生活を変えたCM③ 答一発カシオミニ 外伝 3>
●イントロダクション
まずはこの動画から見てください。
〇【公式】GO!GO!アトム 第11話|ミクロの世界へGO!
https://youtu.be/Q_PkLzmVbfQ?si=a31AjkQTs__wcy6Y
ウイキペディアによれば、このテレビアニメ作品『GO!GO!アトム』の原作は手塚治虫の『鉄腕アトム』。
アニメ制作はフランスのアニメ制作会社「Planet Nemo Animation」が担当。
鉄腕アトムのテレビアニメシリーズとしては、初めて未就学児・低学年を明確にターゲットとした作品。
本作においては、地球環境を学ぶことも主軸としている。
日本向けローカライズ版は2019年10月3日から2020年10月1日までテレビ東京系列の「プリスクタイム」枠にて放送されたといいます。
なぜ、このアニメから始めた理由は、本稿の最後に。
さて、本題です。
そろばん・電卓といったら、西欧では「計算尺」ではないでしょうか?
「生活を変えたCM③ 答一発カシオミニ 2」(リンク)では映画『ドリーム』を紹介し、NASAの元の会社の「計算機部」について書きました。
この映画では、電気計算機やIBM汎用コンピュータは出てきましたが、計算尺は見つけられませんでした。
いい機会ですので、計算尺のでる作品がないか、調べてみました。
ネットで見るとありました。
『ミクロの決死圏』『アポロ13号』そしてなんと『風立ちぬ』
●計算尺って?
その前に、みなさんは「計算尺」ってご存知でしょうか?
ぼくらの年代や理系の方は知っているかもしれませんが、多くの人はあまりなじみがないのではないでしょうか?
1895年創業の「ヘンミ計算尺(株)」のHPがわかりやすかったので、ここから引用させて頂きます。
〇計算尺とは
https://www.pi-sliderule.net/sliderule/premise/toha.html
写真:Hemmi(ヘンミ)計算尺のNO.254WN
●計算尺はどんなことができるの
計算尺では、掛け算・割り算はできますが、足し算・引き算はできません。
計算尺は、掛け算・割り算だけではなく、三角関数の計算や、指数・対数の計算もできます。
僕には、足し算・引き算ができないのは予想外でした。
●計算尺の計算方法
計算尺は大雑把に計算します。
つまり計算尺は有効数字3ケタで計算します。
23×13=299と言った計算は正確に計算してくれますが、12345×67890=838102050は残念ながら正確には計算してくれません。
計算尺では12345×67890は(1.234×104)×(6.79×104)であり、(1.234×104)×(6.79×104)=8.38×108になります。
計算尺は計算の際、位取りを無視し、有効数字の部分だけの計算をします。
と書いてありましたが、すみません、僕もこれ理解できていません。
●計算尺の計算結果
計算尺には誤差はつき物です。しかし、結論から言いますと、実用上問題ありません。
そもそも、計算尺を使う人というのは、数学者のように正確な数字を必要としている人ではありません。
主に技術者が使います。技術者が扱う数字は正確な数字ではなく、測定した数字です。
●米国での計算尺
友人のアメリカ生まれのアメリカ人に計算尺のアメリカ教育での状況を聞いていました。
高校で勉強するそうですが、計算尺の勉強は必須ではないそうです。
*このコメントを載せたら、友人から、これは個人的な経験によるので、1個人の経験として捉えてほしいというラインが来ました。
●計算尺が使われた映画
それでは本題の計算尺が使われた映画作品です。
1.『ミクロの決死圏』
SF作品。スパイアクション要素も取り入れています。
これまでのSFというと、宇宙とか未来といったテーマが普通だったかと思いますが、この作品が扱うのは人間の体内の世界です。
〇ミクロの決死圏 Fantastic Voyage 1966
https://youtu.be/9AKvEE_Gj7Y
●監督 リチャード・プライジャー(ディズニー映画『海底二万里、『トラ・トラ・トラ!』)
●原作 オットー・クレメント/ジェイ・ルイス・ビッグスピー
●作品 1966年 アカデミー賞 2部門受賞(美術監督・装置、特殊視覚効果)
人体内部の造形や特殊潜航艇「プロテウス号」がその中を航行する特撮が評価されました
●ストーリー(緊張感を醸し出すために、文体を変えてみます)
モノを細菌サイズまで小さくミクロ化できる技術が各国において競われている。
現在の可能な時間はわずか1時間。
それを長くできる方法を開発した東側の科学者ベネシュの亡命をアメリカ「情報員グラント」が成功。
が、移動中の空港で敵国に襲われ、ベネシュは撃たれ、脳内出血を起こし、意識不明となる。
現在の医学では、科学者ベネシュの外からの手術は不可能。
脳内出血の重症の科学者の命を救うために、医療チームを乗せた潜航艇「プロテウス号」をミクロ化して体内に送り込む。
細菌大で、人間の体の中に居られる制限時間は現在の技術では1時間。
潜航艇のクルーは男性4人と女性1人の5人。
医療チーム3人(執刀医デュヴァル博士、助手コーラ・ピーターソン、医療部長マイケルズ博士) と通信員で乗り込むグラントとこの船の開発者で艦長のビル・オーウェンス海軍大佐。
実は、この中にスパイが含まれているという。
●「計算尺」が使われるシーン
計算尺は割と重要なところで、控えめに、使われています。
船は、検査では発見できなかった、動脈と静脈の癒着部から静脈に流れ込んでしまいます。
脳に行くためには、心臓を通過しなければらなりません。
が、心臓内の流れの強さには、船は耐えらません。
作戦責任者の「カーター将軍」が、心臓を止め、船を通過させる案を考え出します。
心臓が止められる時間はわずか1分。
船の速度から船が心臓を通過するのに必要な時間を計算します。
その時間を割りだすのに将軍が使ったのが、軍服のポケットから取り出した「計算尺」。
映画の開始から46分あたり 将軍が心臓を通過できる時間を計算しています。
出した結果は、船プロテウスが全速で通過すれば57秒で心臓を通過できる。
心臓を止められるのは60秒。
蘇生作業に3秒充てられるので、作戦はGOです。
将軍が計算する僅かの場面に計算尺が登場します。
映画『アポロ13号』のように、計算尺がアップされていません。
、ぼんやりしていると、「計算尺」が使われているのを、見のがしてしまうと思います。
、
● 『鉄腕アトム』と『ミクロの決死圏』
冒頭の『GO!GO!アトム』登場の種明かしです。
この物語の細菌化するアイデアですが、実は元ネタがありました。
元ネタというのは『鉄腕アトム』第88話「細菌部隊」というのです。
『鉄腕アトム』第88話「細菌部隊」の動画をできれば、ここでご紹介したかったのですが、残念ながら、ネット上にはありませんでした。
その代わりに冒頭に、「GO!GO!アトム 第11話 ミクロの世界へGO!」を載せました。
本当は、『鉄腕アトム』第88話「細菌部隊」についても深堀したいのですが、それでは「電卓の外伝」の「外伝」となってしまいますので。今回は止めにします。
手塚治虫の最初の著作『僕は漫画家』でその顛末について記述していますので、126頁から、ご紹介しておきます。
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(手塚の)『吸血魔団』というSF物は、ある薬品の威力で、わが身をゴミのように縮めた科学者が、ある結核患者の口へ飛び込んで肺に行き、そこで結核菌と戦う話である。
ところが最近(筆者注、『僕は漫画家』が書かれた時代)封切りされた『ミクロの決死圏』という映画では、同じようなテーマで、同じようなストーリイが展開する。
僕が「アトム」を映画化(筆者コメント アニメ化の間違いでは)して『アストロ・ボーイ』の名でアメリカのテレビにオンエアしている、ことは前に書いた。
そのうち「アトム」のオリジナルのネタが切れて、僕の他の作品から、虫プロのスタッフが脚色したものを使うようになった。
その中に『吸血魔団』も入っていた。
そしたこれは「細菌部隊」というタイトルでテレビ放映された。
もちろんアメリカでも放映された。
内容は、アトムが出てくる以外は、「吸血魔団」とほとんど同じ構成である。
するとNBCへ、二十世紀FOX社のプロデューサー・ブレーンの一人であるE・ウエルナーという男から手紙が来て、
『アストロボーイ』のシリーズ中のあるエピソードを、今フォックスが企画している
SFシリーズの一つに使いたいのだが、著作権その他はどうなっているかと問い合わせがあった。
NBCのトッド氏は、そのシナリオをNBCの権利において相手のシナリオ・グループに送ると同時に、手塚の住所を知らせたので、いずれ相手から連絡があるだろう、と僕のところに通知してきた。
ウエルナー氏からは(手塚の元に)手紙が来なかった。
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こんないきさつがあったのですね。
●『ミクロの決死圏』の影響
その『ミクロの決死圏』も他の作品に影響を与えています。
87年のスピルバーグ総指揮の『インナースペース』の原点になったと言われています。
●『インナースペース』
〇インナー・スペース(字幕版)
https://youtu.be/ht6-08miDCs
長くなって、しまいました。
ここでは、予告版をご紹介するだけにします。
また、『アポロ13号』については、次の機会に廻したいと思います。