所用のついでに、レストランで夕食を食べた。

入店時、店内はひどく閑散としていた。
たった1人なのにも関わらず
空いている4人席へ案内されたが、
社会的距離を保つには必要なのかな?と
案内されるがままに席についた。

4人席とはいえ、中央に衝立のごとく
カトラリーや調味料のラックが置かれているので
もしかしたら、2人×2組で相席のご案内も
あるのかもしれない。

お店のテーブルが次々と埋まって
空きテーブルがほぼなくなり、
注文した料理を美味しくいただいていると
何の声掛けもなく店員が向かいの席に
2人連れの女性を座らせてしまった。

真ん中にあるカトラリーのラックで
テーブルを仕切っているつもりなら
相席も別にとやかく言わないのだが…
真向かいに座った女性が使用している
化粧品に含まれた微量の香料が合わなくて
だんだんと気分が悪くなってしまった。
もう、食べるどころではない…。

周りを見渡すと離れた別席に案内されたばかりの
もう1組の2人連れの女性が何かを話している。
「せっかく4人で来たのに早く食べたいからって
バラバラの席へ分かれるまでしなくても…。」
もしかして、真向いに座っている女性達の連れ?
離れた席の2人連れ女性は利用できるかも…。

「もし真向いの女性達と来店しているのなら
私と席を代わってもらいたいのですが
そちらのご都合はいかがですか?」とメモに認め
店員さんを介して離れた席の女性達に交渉すると、
「えっ!? 食事中なのに席を空けてくれるの?」と
拍子抜けするほどあっさり承諾していただけた。
どうやら、あちらにとっても席の交換は
Win-Winの関係となるらしい。
別席の彼女達は水のコップだけ持ち、
私はテーブルの料理一式を店員さんに運んでもらい
テーブルを移動させてもらう事に成功した。

すれ違いの際に「食事中なのにすみません」と
謝られてしまったが、真向かいにいた女性達は
メニュー選びに夢中で実は私は何もされていない。
どうも彼女達は、4人組で来店したのに気付いた
私がわざわざ席を譲ってくれたと思ったらしい。

真向かいに座った女性が使う化粧品に
含まれる微量な香料が原因で席を移動したかったと
本当の理由を説明しても仕方ないのでつい、
心の広い人物を演じてしまってごめんなさい。

実は、テーブル席の交換は、
私自身の保身のためだけだったのです…。