私の家は、浄土真宗 本願寺派である。
線香は扱いやすい長さに折り、
蝋燭の炎を移して軽く手のひらで仰ぎ、

火を消してから香炉灰の上に寝かせる。

 

家に仏壇が届くまでずっと、
線香は焚いたら自然に燃え尽きるものと
思い込んでいたが、実際は違った。

灰の上に線香を寝かせた瞬間、

線香の燃焼部分がす~っと消えてしまう。

手で持った状態の線香に異常はない。
ということは、原因は香炉灰に違いない。
そこから試行錯誤が始まった。

香炉灰の状態が悪いのではないかと、

灰をふわふわにして中に空気を含ませたり、
灰をかちかちに押し固めて空気を抜いたり、
思いつく限り灰を弄ってみたが無駄だった。


もしかしたら灰の種類が合わないのではと、

珪藻土灰から藁灰に交換してみたが

購入したどの灰を試してもうまくいかない。


悩んだ末にふと思い付いたのが、
お寺の境内にある常香炉。

参拝者が線香の煙を浴びるための

常香炉に敷き詰められているのは

燃焼させた線香の灰だ。

 

ただし、お寺から常香炉の灰を

無断で持ち帰るのはマナー違反である。

自宅で渦巻線香をお皿の上で焚いては

燃焼後の灰を丁寧に集めることを繰り返し、

線香を燃焼させた時の灰だけを香炉に溜めた。

 

香炉の底から2cm位まで灰が溜まった頃、

中まで空気を含んだふわふわの灰に

そっと火を移した線香を寝かせてみると

初めて線香が完全に燃焼した。

 

浄土真宗の方で線香が燃焼せず

どうしたらよいか悩んでる方は、

線香を燃焼させた時の灰だけを

香炉に溜めて一度試してほしい。

 

ここだけの話、香炉のお手入れも楽だ。

普段は灰ならしで灰を綺麗に整えるだけ。

灰が増えすぎたら適宜量を減らせばよい。

なぜなら、香炉の中の灰は全部、

燃焼後の線香の灰しかないのだから。

 

線香が綺麗に燃え尽きる家の方々は、

知らず知らずのうちに供養の日々の中で

香炉灰を育て、共に歩んできたに違いない。

そうでない家の方達は、

線香の燃焼する条件と偶然合わないだけだろう。

 

線香がうまく燃えなくて悩んでいる人がいたら

そのようなことで思い詰めなくとも大丈夫です。

供養する気持ちは必ず、大事な人に届いていますよ。