時短小説【黒い太陽】
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平成になって初めての春、夏を思わせる陽気の中、孝彦はいつもの喫茶室 談にいた。
「本当まったくあちいな」
孝彦はコーヒーを運ぶ銀のトレーをウチワ代わりにしてバタバタと扇いでいた。
「たくよー、この店はクーラーもねぇのかよ。時代は平成だぜ、どこまでレトロなんだよ。」
従業員で都内の短大に通う幸代が言う
「中村さん、だってしょうがないじゃない、うちのマスターがクーラーは体に悪いって」
「クーラーは体に悪いだぁ?ただケチなだけだろう。それにマスターって顔じゃねーだろう、どうみても大将って顔だろう」
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孝彦は、だらしなく伸ばした髪をバッサリと切りジェルでばっちりとキメ
スーツを着ていた。
久々のスーツの着心地の悪さと気恥ずかしさから
歩き方が少しぎこちなかった。
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ガムをクチャリクチャリと噛みながら「木田さんのやり方は古いんすよ。レトロっすね」と言った。
オフィースが一気に静まり返り
皆が一斉に孝彦を見た。
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孝彦は気だるそうにナボリタンを箸で食べた。
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「何が平成維新よ。ミルクコーヒーしか飲めないお子ちゃまのくせに」幸代は孝彦に聞こえない様にそっと呟いた。
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「そうだ」孝彦は頷いた。
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「たくここの店はクーラーが効きすぎだよ」と言いズズズと音を立ててミルクコーヒーを飲んだ。
完
手に汗握るサスペンス小説の最高峰
関塚裕二先生の次回作をご期待下さい。
※関塚裕二のどーでもイイ情報※
謎のシャンプーのCMが気になります。
今日の力士:朝潮
今日のBGM:海/サザンオールスターズ
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