【書評】市場は間違える、だからチャンスがある/阿部 修平 | 書評に魔法はない

【書評】市場は間違える、だからチャンスがある/阿部 修平

市場は間違える、だからチャンスがある/阿部 修平
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資産運用業界、ジョージソロス、阿部修平、過去の通貨危機に興味がある人に読んでいただきたい。

前半は、筆者の自伝。
中盤は、ソロスの理論の説明や過去の通貨危機について。
終盤は、これからどうなっていくのか?筆者自身どうありたいかが示されている。

私個人としては、第一章の経験も運用実績も資金もない起業家としての阿部修平の若き姿に感動をした。

ソロスのエピソードで印象に残ったのが、上場前にダイエーの株を中内功さんからかっていたらしい。当時の株主名簿のアーノルド・プレイシュローダーはイーグルファンドのカストディー・ネーム。

当時、企業を資産価値で評価する投資手法、つまり損益計算書ではなくバランスシートで評価するという方法は真新しかった。このアイデアがソロス氏の目にとまり1億ドルの運用を任される。


最後の締めの部分は大いに共感する。

「正直・誠実に自らの人生を全うしたい。」

「小さなことでも嘘をついたり、不誠実だったことをすれば長きにわたり自責の念からのがれられないであろう。」

「善意の信用を個人的利得のために故意に利用し、裏切ることは絶対にあってはならない。」


すごい共感する。
このような高い倫理観を持った人はこの業界には少ないのが残念だ。

ソロス氏も「金融市場の最も際立った特徴とは、道徳とは無関係である。」と述べている。
この業界では、自分が利するために平気で自分を信じてくれている顧客に嘘をついたり、騙すことに慣れている人間がたくさんいる。
自分の良心の基準や高い倫理観を持ちたいと思うし、本当に人のためになるようなことをしたいと思える一冊。
ジョージ・ソロス不滅の警句/青柳 孝直
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