「忘れるのではなく入れ替える」

 

 

 「イヤな過去」を忘れられないのは、そのことを心の中で反復しているから、と前回、記しました。

 

「過去」は感情的なインパクト×回数で定着します。たとえば数式で表すと、とても辛い思いを(インパクト)した、をAとします。それと同じような状況になるとその辛さを何回も思い出す(回数)を、Bとします。

A×B=過去の定着度合いとなります。

 

これが正しいことは、様々な方面で立証されています。

最近の研究で、腰痛の原因について意外な事実が発見されました。腰痛というと肉体的に腰が悪いと、決めつけてしまいがちですが、多くの原因不明の腰痛は肉体の方ではなく「過去の記憶」にあるらしいことがわかってきました。

 

腰を痛めた時の痛さ、辛さを、同じような状況にあうたびに、脳の中で再現してしまい、その「過去の痛み」を現実に肉体が感じ取ってしまうというものが多いというのです。体はもう治っているわけですから、医者にかかってもなるほど原因不明なわけです。

体にまで影響して実際の痛みまでもたらすのですから、心のほうは尚更でしょう。肉体的なものでないだけに、違った辛さがあるとも言えるでしょう。

 

ですから、もしあなたが、ある「過去」を忘れよう忘れようと頑張れば頑張るほど、その「過去」は深く強く定着していってしまい逆効果になるという皮肉な結果になります。「忘れたいことほど忘れられない」というのはこういう理屈なのですね。

 

じゃあ、意識的にどうするの、と疑問が起こってくることでしょう。それはこういうことです。

 

意識的にするのは「過去」を忘れようとすることではなく、「過去を入れ替える」ことなのです。

 

前回、「絶対こうに違いない」と思い込んでいたことが、実はよく確認してみたら、「全くの思い違いだった」という経験、についてお話しました。

思い違いというのは「過去」が入れ替わっているということです。それを意識的におこなうのです。

 

ですから、頑張る必要はありません。かといって放っておいてもいけません。

 

そこにあるイメージを別のかたちに入れ替えるのです。

 

感じとしては「感情の衣替え」みたいなものでしょうか。

 

いろいろな「衣替えの仕方」がありますが、それを一つずつ、これから紹介していきますね。