小学校1年の時、学芸会を鬼役で踊った。当初踊るのはO君だったのだが、前日練習でドタキャン。それで大人しい(!)私に白羽の矢が当たってしまった。それで今も恥ずかしい白タイツ姿で踊ったのだ。各組代表で1人ずつ、計8人位で踊った。自分には強烈な思い出で、今でも曲のメロディと歌詞(一部不明)を覚えて居る。
「鬼だ鬼だという前に
人間どもにないものが
鬼には立派についている。
○×▽▲◆□◎△■▽▲◆□◎(ここが不明)
わっははっは、ははははは」
白タイツからみんな(当時は女子もいたと思う)のパンツが透けており、非常に恥ずかしかったのを覚えて居る。おそらくO君はこれがいやだったのだろう。気持ちは分かるが、この後O君から詫びの言葉を聞くことはなかったし、それどころか、自分の鉛筆や消しゴムを盗むような悪童だった。忘れられないのは、小学3年位の頃、銀の入った大きなパッチ(銀パン。当時は価値が高かった)を盗まれて家まで押し掛けたことがあった。幸か不幸か家にはO君自身しかおらず、
「盗んで居ない。疑うんだったらうちのオジサンが弁護士だからサイバンやってもいいぞ」とうそぶく。こちらは白けてそのまま帰宅し、O君との縁もここで途切れた。
それから幾星霜。昭和の終わり位の時、札幌駅の地下街の肉屋で働くO君を見かけた。視線に気付いたのかO君がこちらを見て目が合った。するとO君、ぺこりと頭を下げ、自分もそれに応えた。あの時のお詫びの筈はないが、その時の自分はそう受け取って「もういいよ」と独り言ちた。