
すごいのは、当時ジェフ・ベックとピーター・フランプトンが同列で語られていたということ。
当時、フランプトンの人気は凄かった。「フランプトン・カムズ・アライヴ」「アイム・イン・ユー」と大ベスト・セラーで、全く興味ない私のような人間でも、レコード店の店頭やテレビ、ラジオで触れずには居られなかった。
・・・・辛かった。
確かにフランプトンはハンブル・パイまでの下積み時代を過ごし、やっと陽の目を見たアーティストだろう。しかしそのギターのプレイ・スタイルや作曲センスは私にとっては凡庸でしかない。まあ、ご面相がいいのでアイドル受けすることは認めるが・・。
「BBA」「Blow By Slow」「Wired」「Live Wire」と音楽性・テクニックともストイックといえるほど研ぎ澄まし、高みを目指しているジェフ・ベックとは雲泥の差である。
同列に語ろうというのが、そもそも間違いなのだが、当時はそんなことはどうでもよかったのだろう。この雑誌とこの時代には。
1977年というのは、ロックにとってはターニング・ポイントの年である。
前年から猛威をふるい始めたパンク・ムーヴメントがこれまでのロック界の価値観を変えつつあった。
ただ、この年だけはまだその影響が少ない“隙間”の時期だった。
その間隙を縫って登場したのがフランプトンの上記2枚のアルバムだったのだ。
今現在、ジェフ・ベックは最高のギタリストの一人として君臨しているが、ピーター・フランプトンは懐かしのメロディーでしかない。