true-終曲 Phewと云えば、「終曲」だ。深夜、死者が限界集落にある打ち捨てられた墓場でひとりダンスしているようなサウンドと、引きこもり気味の文学少女然とした風貌に猛烈なショックを受けた。Riuichi Sakamoto Produce. このシングルで私の中で男を上げた坂本龍一。私が敬愛する Gong のシンセサイザー奏者 Tim Blake を見下すような態度で対談したときは殺意すら抱いていたが、こいつ、増長しても仕方ない位カックイイサウンドを紡ぎやがるぜ、と認めざるを得なかった。
 「でも」
とへそ曲がりのわしは頭の中でほざく捨て台詞を忘れはしなかったが。
「B-2 Unitでは、アンタが云う程音楽を解体出来得ては居なかったケドネ。」

 true-Phew フューのアルバムはわしのドギモを抜いた。なんと、クラウト・ロックの最高峰:CAN(カン)のホルガー・シューカイとヤキ・リーベツァイトが参加している。しかも、プロデュースはジャーマン・サウンドの絶対的仕掛け人:コンラッド・プランク。
 「どーやったら、こんなスゴイ人達とオ仕事一緒に出来るワケ?」
 とこれまた仰天。サウンドはもちろん、このテの音を指向する人達には「最高」の出来。
 何処がいいのか、特に挙げるならば、『これぞヘタウマの真髄』と云へる、シューカイのベース・プレイだらうか。こんなベースを弾けるのはもちろんシューカイしか居ないだらう。
 ベースを上手くなろうとシューカイが練習していると、同じくCANのギタリスト:ミカエル・カロリがやってきて、
 「なんで上手くなりたいの?今のママでいいじゃん。カッコイイじゃん。」
と云ってくれなかったら、こんな素晴らしいベース・ラインは聴く事が出来なかったらう。

 Holger Czukay。情報がない頃はどう読むかわからず、“ホルゲル・クズケイ”と読んでいた。Jaki Liebezeitはかろうじてリーベツァイトと読んでいた。“Liebe”は“愛”、“Zeit”は“時”。時を愛する。いい名前つけてるなあ。本名ぢゃないよね?




PHEW/PHEW


B‐2 UNIT/坂本龍一


ユー(K2HD/紙ジャケット仕様)/ゴング


エーゲ・バミヤージ(紙ジャケット仕様)/カン