クチコミネタ:秋の夜長にオススメな本・DVD

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ピクニックat ハンギング・ロック 先週ルシール・アザリロヴィック監督作「エコール」を観た。(原題は“INNOCENCE”だが、押井守監督「イノセンス」、ルキノ・ヴィスコンティ監督作「イノセント」との混同を避けたのだろう。)
 世間から隔絶された寄宿舎生活を送る少女たちの物語なのだが、美しい映像にさまざまな謎が加味され、独特の不思議な雰囲気を醸し出している作品だ。
 全くの余談だが、途中とエンディングで流れる印象的なメロディーの曲はプロコフィエフの「キージェ中尉」。あのStingの傑作アルバム「The Dream of the Blue Turtles/ブルー・タートルの夢」の“Russians”に一部拝借されたのでお聴き覚えのある方々もいらっしゃることだろう。

 そしてこの映画によって久しぶりに忘れかけていた或る作品を思い出した。
 ピクニックに出掛けた女学校の生徒たちが神隠しにあった実際の事件を映画化したピーター・ウィアー監督作『ピクニック at ハンギング ロック』である。この映画も幻想的な美しさに包まれたミステリアスな作品で、厳しい冬へと傾いてゆくこれからの秋にぴったりの感傷的な映画で、謎でいうとこちらが上。但しこの謎、決して解かれないのではあるが。2年前DVD化されたがレンタルで見たことなし。見つけたらジム・モリソン踊りをしてカウンターへ駆け込むべし!

 さて、本についてはいろいろありすぎてまとめきれないが、1冊だけ頭に残る作品があった。
 亀井勝一郎著 『大和古寺風物詩』である。自分は高校の修学旅行は奈良と京都だったが、十分古都を味わう感性を持たずして終えてしまった。
 旅行後改めて手に取った本作を読み進めるごとに、「ああ、もうちょっと前にこれを読んでおけばよかった」と後悔しきりであった。流麗な筆致と鋭い観察眼が日本人の“こころ” を呼び覚まさせてくれる。
 絶版になっていると思うが入江泰吉の写真掲載の「大和古寺風物詩 写真版」もいい。古書店ではそんなに苦労なく入手できるだろう。

The Mediaval Babes 最後に音楽についても触れておこう。
 これも映画同様女性ばかり12名を擁する“The Mediæval Bæbes”
近世の民謡をアカペラのみで甦らせたMiranda Sex Gardenの“Madra”を更に発展させたといえる“ミディーヴァル・ベイブス”。元ミランダ・セックス・ガーデンのキャサリン・ブレイクがこのユニットのリーダー的存在なのだと思うが、この中世トラッド音楽への執念はどこからくるのか、と思ってしまう。Salva Nos (Save Us) は彼女たちのデビュー作。完全にクラシックのジャンルに入っているが、ロックに造詣がある方にも受け入れられるだろう。
  ちなみにリーダー格のキャサリン・ブレイク。モデルと言っても通用する目が落ちそうになる程の美人である。